出版社内容情報
日本最古の書。日本文化の原点を解明する。
『古事記』は、成立年代のはっきりしているものとしては、日本最古の書物である。『古事記』七一二年成立、太安万侶撰。『日本書紀』七二〇年成立、舎人親王他編集。同じような歴史書がほぼ同年代に成ったのは何故か、また、目的・意義は何かなど、両書の存在は日本古代史の大きな謎の一つである。『日本書紀』が成立直後から「正史」の扱いをうけて、読み・解釈の研究対象として多くの記録が残されているのに対し、『古事記』は何故かほとんど忘れ去られ、江戸時代になって、ようやく本居宣長の登場をまって本格的な研究が行われた。 『古事記』と『書紀』の大きな相違は、双方とも漢字文字を使いながら、基本的に『古事記』は日本文、『書紀』は中国文であることだ。誤読されない日本文を漢字だけで表現することに、安万侶の苦心があった。現在に繋がる日本語表現の誕生である。『古事記』には、伝説・物語・歌謡などを通して日本文化の原点が内在されている。 今、『古事記』研究は、新しい読みと解釈を求めて新段階に入りつつある。山口佳紀・神野志隆光の校注者コンビは、現在望み得る、最高・最新の『古事記』を読者に提供している。
山口 佳紀[ヤマグチ ヨシノリ]
著・文・その他/翻訳
神野志 隆光[コウノシ タカミツ]
著・文・その他/翻訳
内容説明
頭注+原文+現代語訳。「三段組の古典」決定版誕生!基本的作品を網羅。権威ある執筆陣、最新の研究成果。読みやすい二色刷。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
マウリツィウス
27
【『古事記』/オリエンタリズム】新約聖書史との共有化は不可能とされるも《神道》確立において最重要視される『日本書紀』とは元来は古典叙事詩との共存を可能としている。『イリアス』『オデュッセイア』がそれぞれ対応し新約価値観を語り継ぐ古典ギリシャ語文化と比較出来る。古代史を連環へと導き出した『古事記』はギリシャ文献を駆使したことで研究形跡を残し、ギリシャ思想との類似共通項は掲げられるもその独自性とは《無神論的汎神論》その融和論が古典を編み出していく軌跡と軌道と物語を《史実》たらしめる神話は「価値事実」を告げる。2013/07/12
ELAT
3
書下し文を読むだけならそこまで読みにくくはなかった(意味が不詳な所も少なくないが)。内容については、系譜の記述はつまらないけど、神々に関する上巻は全体的に興味深く、中下巻もおもしろいエピソードがいくつかあった。また解説によれば、古事記は漢字を使って日本語を文章として表す工夫・洗練がしてあるそうで、表記という点についても注目する必要があるようだ。2018/02/17
ジョナ
3
神様の名前が長い!展開が見も蓋もない!神様、天皇がいっきに増えすぎ! 上つ巻は神話、中つ巻は神と人とがまじわってゆく、神と天皇の話で、下つ巻は天皇たちの話。下巻が読んでて一番分かりやすかったけれど、全体的に斜め読みになってしまった……。2014/02/20
綾
2
厠での話が印象的だった。2014/10/21
笛の人
1
日本神話の原典を初めて読みました。最古の歴史書がこれでいいのかと、突っ込まずにはいられないほど奇想天外な話が沢山ありました。印象に残った話としては、サホビメとサホビコの兄妹恋愛です。兄×妹というジャンルが既に出現していることにも驚きですが、衣を脱ぎ捨てることで捕まらないという、源氏物語・空蝉の発想の原型が見られたのが面白かったです。これを空蝉に見立てた紫式部はすごいですね(もしかすると、別の人の発想かもしれませんが)。他にも個性豊かなキャラクターが多数登場し、「ラノベ古事記」があることにも納得しました。2022/12/17