出版社内容情報
鹿鳴館と並び欧化主義の象徴、それが明治の〃競馬〃。文明開化の進展をアピールする明治の夢の祭典を、美人画の楊州周延、光線画の小林清親、三代歌川広重など代表的な浮世絵師の作品60点と石版画・写真などで立体的に構成。
幕末の横浜居留地で始まった日本の近代(洋式)競馬は、楊州周延、小林清親、月岡芳年、三代広重ら明治を代表する浮世絵師により美しい錦絵に沢山描かれた。本書は横浜根岸競馬場・不忍池競馬場などを題材とする浮世絵をカラーで60点掲載。そのほか石版画・写真などで立体的に構成。明治の競馬は幕末に結んだ不平等条約改正の目的で建てられた鹿鳴館と同じく、明治国家によって開化政策の一つとして開催された。横浜根岸競馬場は欧米の居留外国人が中心となって主催され、独自の発展をとげた。それ以外は明治31年を最後に中止された。しかし、日清・日露戦争を経て、軍馬改良の目的で政府は馬券を伴う競馬開催を2年間黙許した。当時の社会は空前の競馬ブームにわき、悲喜劇がおこり、おもちゃ、子供の遊び、漫画などにその跡を残している。この時期に輸入された牝馬フロリースカップは平成9年の菊花賞マチカネフクキタル、平成10年の日本ダービー馬スペシャルウィークを子孫にもっている。浮世絵ファン、社会風俗史に興味のある方はもち論、競馬ファンが「通」にもなれるオススメの一冊です。
内容説明
競馬ブームは明治にもあった!鹿鳴館と並ぶ欧化熱の象徴。浮世絵に描かれた馬たちは、国家の声援を背にゴールを目指した。欧米並みの先進国へ、競馬は文明開化の進展をアピールする明治の夢の祭典だった。本書は競馬と浮世絵が楽しめる。
目次
明治の競馬事情
日本近代競馬の曙
馬券発売黙許時代―二年間の狂騒
明治の競馬人と競走馬
馬と明治社会
明治期に輸入された外国馬
明治の競馬年表
主な浮世絵師紹介
馬と人との歴史や競馬を知る博物館