出版社内容情報
日本文化の基層にあるのは稲作文化だけではない。「百姓」とは農民だけではなく、山民・海民、商人も含まれる。列島の社会像の修正を迫る、谷川健一/網野善彦/大林太良/宮田登/森浩一の白熱の討論集。
まもなく21世紀を迎えようという現在、今までいわれてきた日本社会のあり方や成り立ちを問い直す動きが、諸学問の研究の進展から生まれてきています。この本は、民俗学から谷川健一氏・宮田登氏、歴史学から森浩一氏。網野善彦氏、文化人類学から大林太良氏、そして作物学から渡部忠世氏が出席して行われたシンポジウムをもとに、増補・加筆したもので、従来「常識」とされてきた日本像をくつがえす、さまざまな卓見に満ちています。 ここでのテーマのひとつが、日本人と米との関わりであり、日本の伝統の根底に稲作文化があることの一方に、雑穀などの食文化の様相が語られます。そして、「百姓」という言葉が農民とイコールではなく、山民・海民・商人などが含まれていたことや、一見自給自足的な社会だと思われがちな縄文時代にも、土製の耳飾りなど、それぞれの土地の特産物があることも明らかにされます。また、日本人の国際性がもう一つのテーマになっています。なお、このシンポジウムは「海と列島文化」(小社刊・全10巻、別巻1)の完結を記念して、1993年2月20日に開催されたものです。
内容説明
学際的な成果と蓄積にもとづいて交わされた衝撃的討論の記録。稲作文化中心の史観を脱した視点で、百姓=農民、日本=農業社会、コメ文化論、島国論などを再検討。従来、常識とされてきた列島社会の実像を覆した衝撃的な討論の成果を収録。
目次
第1部 提論(列島社会の新たな実像を求めて;比較すべきこと;列島の民俗文化をどうとらえるか;貝と日本文化;倭的日本人)
第2部 討論(列島社会の多様性;特別報告―稲と村を東南アジア島嶼域からみる;日本人の特性と「島国論」;これからの課題)
感想・レビュー
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カネコ
にゃん吉