出版社内容情報
明治10年に来日、わずか2年半たらずの短期間に3万点を超える民具を収集保存した大森貝塚の発見者モースが集めに集めた明治カプセル。彼に魅せられた7人が語る博物学入門書。
「大森貝塚の発見者」として知られるエドワード・シルベスター・モース。シャミセンガイの研究者として米国から明治10年に来日、横浜から東京への汽車で大森の貝塚を発見、さらに創立したばかりの東京大学の動物学教授となってダーウィンの進化論を紹介、日本の考古学、動物学の基礎を築いた博物学者である。だがモースの真価はそれだけではなかった。2年半の滞日中に約3万点の日本の民具を収集、米国へ持ち帰って大切に保管したのである。しめ縄、看板、火吹き竹、下駄…。それは芸術的とか歴史的とか商品価値とかに関係なく、日本のいま(当時の)を現す日常品だった。わずか100年ほど前の「モノ」なのだが、現在の日本には残っていないものが多々ある。「文明開化」や「近代化」の中で日本人が捨て去った「モノ」が、モースの博物学精神のお陰で残っていたのである。この本は1990年の「海を渡った明治の民具ーーモース・コレクション展」を記念して開かれた連続講演会の記録。モースのコレクションを収蔵しているセイラム・ピーポディー博物館館長のピーター・フェチコ、日本の守屋毅、佐原真ら7人が、コレクションの持つ意味やモースの時代を語っている貴重な記録である。
内容説明
大森貝塚の発見者として名高いモースは、2年半に満たないわずかの間に3万を超える日本の民具をアメリカに持ち帰り、大事に保存したのである。これは、モースに魅せられた七人が語る“モースと日本”である。
目次
なぜいまモースなのか―博物学の過去・現在・未来
モースの偉大さ
モースと江戸・東京
モースの時代―明治初期の日本と日本人
日本におけるモース
モースの考古学と民族学
セイラム・ピーボディー博物館とその揺籃期