出版社内容情報
『本の窓』に連載し、亡くなる直前まで書き続けた故、森敦さんの好評エッセイ待望のSL化。一編一編に生きることの真実が凝縮していて示唆に富む。また簡潔だが含蓄ある文は詩のように美しい。
"この作者は、弱冠22歳で華々しく文壇にデビューしながら、突如、東京を去って各地を転々放浪し、その後40年を経て、小説『月山』で芥川賞を受賞。""61歳の新人""として復活して、マスコミをにぎわした人物である。 その特異な人生経験をもとにして幾多の小説、また何冊かのエッセイ集を生んだが、なかでも本書は、その最晩年のものであり、少年時代から青年時代、そしてまた老年時代にわたる長い人生のうち、印象深い54の題材を選び、もっとも成熟した眼でそれらを見つめ、語ったものである。たとえば、取り上げられた題材は、親と子の滋味あふれる関係についてのものもあり、ユーモラスでもある学生生活の回顧や友情についての考察あり、老人の知恵についてのエピソードあり、また、小説の一場面を思わせる放浪時の回想、そして孔子や芭蕉などについての感懐ありで、多彩である。いずれも短い文章で読みやすいが、その独自の語りには、座談・講演の名手とされた作者の姿を彷彿とさせるものがあり、また、その含蓄の深さには、意外な重さと読み応えを感じるだろう。これは、豊かなエッセイ集であると同時に、「知恵の書」でもある。"
内容説明
亡くなる直前まで書きつづけた森敦さんの好評エッセイ、待望のSL化。一編一編に生きることの真実が凝縮していて、おおいに示唆に富む。
目次
あの雪あの雲
十五の志
人生の真実
孔子の風貌
先見の明
皹あかぎれ
親の年齢
台風と番傘
真実を恐れざる目
名士〔ほか〕