ガガガ文庫 月とライカと吸血姫〈２〉

牧野 圭祐【著】

小学館（2017/04発売）

• サイズ 文庫判／ページ数 328p／高さ 15cm
• 商品コード 9784094516722
• NDC分類 913.6
• Cコード C0193

出版社内容情報

高度百キロメートルの宙から君を想う。

『ノスフェラトゥ計画』の一件を評価されたレフ・レプス中尉は、晴れて念願の宇宙飛行士候補生に復帰する運びとなった。それに合わせて吸血鬼の少女イリナ・ルミネスクを監視する任務からも解かれることになる。昼を生きるレフと夜を生きるイリナ。ふたりは同じ基地内でもすれ違ってしまう、そんな生活が続いていた。

イリナの様子を気にかけつつも、レフは自身の夢を叶えるために「人類史上初」をかけた宇宙飛行士選抜試験に挑み、優秀なライバル達と鎬を削る。

その一方で、不穏な空気がイリナの周りを包もうとしていた。

「実験体が帰還したようです」
「……もう用済みだろう。廃棄処分を」

回り始めた運命の歯車は、果たしてどこに行き着くのか――。

世界に渦巻く巨大なうねり。一枚岩ではない共和国政府。追いつけ追い越せと躍起になっている連合王国。いまだ人類が宇宙に行くことが奇跡だと思われていた時代。様々な思惑に翻弄されながらも、命を懸けて遥か宇宙を志すふたりがいた。宇宙に焦がれた青年と吸血鬼の少女が織りなす、宙と青春のコスモノーツグラフィティ第二幕。



牧野 圭祐［マキノ ケイスケ］
著・文・その他

かれい［カレイ］
イラスト

内容説明

『ノスフェラトゥ計画』の一件を評価されたレフは、実験体の吸血鬼イリナを監視する任務から解かれ、晴れて宇宙飛行士候補生に復帰。「人類史上初の宇宙飛行士」の座をかけた選抜試験に挑み、ライバル達と鎬を削る。一方、イリナに不穏な空気が忍び寄る。「実験体は用済みだろう。廃棄処分を」。昼と夜、すれ違うふたりの運命は。―宇宙開発の黎明期であり、最前線。様々な思惑に翻弄されながらも、命懸けで遙か宇宙を志すふたりがいた。宇宙に焦がれた青年と吸血鬼の少女が紡ぐ、宙と青春のコスモノーツグラフィティ第二幕。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

[海猫]

理想的に良くできた続編で、素晴らしい。前巻は少々の物足りなさがあったがそれを補完するようなエピソードがどんどん語られる。人物も主人公ら二人以外も掘り下げがあって厚みが出てきた。前巻が主人公がヒロインを見守る話ならば、今回は主人公自身が頑張ってヒロインに追いつこうとする話。そういう積み上げがあって、感銘あるエンディングに着地。ここまでの2冊で物語が閉じるどころか、開かれたロマンが垣間見えて期待が高まる。新展開を楽しみに待ちたい。

2017/07/10

[よっち]

吸血鬼の少女イリナの帰還後、晴れて念願の宇宙飛行士候補生に復帰したレフ。彼女を監視する任務から解かれその様子を気にかけつつも「人類史上初」を賭けた宇宙飛行士選抜試験に挑む第二弾。過酷な選抜試験でもらしさを失わないままのレフと、すれ違いが続くイリナの周囲に漂う不穏な空気。自分の気持ちに素直になれない不器用な二人の想いは切なくて、消化しきれない複雑な葛藤もままならなくて、だからこそ違和感だらけの土壇場で革命を起こしてみせた勇気と、それがもたらした奇跡がとても素敵なものに思えました。続刊また読めたらいいですね。

2017/04/18

[ゆなほし]

シリーズ2作目。人類史上初の宇宙飛行士の座をかけた選抜試験に挑むレフだが、一方実験体の吸血鬼イリナに不穏な空気が忍び寄り…。衝撃的に面白かった前巻の待望の続刊は、全く色褪せない面白さを与えてくれた！史実を元にしたリアリティ溢れる宇宙飛行士の訓練や、どこまでも秘密主義な国の内政、共和国と連合国の宇宙開発競争、そしてそんな事に縛られたくないレフとイリナの想い。後半の怒涛の展開に、先が気になってページを捲る手を止められない。いまだかつて、こんなに宇宙好きを夢中にさせるライトノベルを私は知らない。

2020/03/20

[むっきゅー]

【ボクの推し作品を嫁に読ませた結果⑤-2】1巻が85点と高評価だった本作。第2巻は93点と、まさかのK点越え。嫁、｢レフが宇宙から語ったメッセージをイリアが聞いていたシーンが特に泣けた。ソ連の秘密主義によりいつ殺されるかわからない状況にハラハラした。サブキャラの飛行士たちも良かった｣。おっおう、ベタ褒めだな、お気に召してなによりです。そしてサブキャラ好きは相変わらずか。ボクも宇宙のシーンや、ラストシーンに感動したわ。

2020/01/30

[あなほりふくろう]

イリナの、いつ殺されるともしれない状況でそれでもレフへの想いに心揺れるさまが、なんとも切なく愛おしく。レフの努力と人柄がローザやミハイルに認めてもらえた瞬間はちょっと嬉しかったかも。そして新血種族への差別がこのような反転を生むとは、なるほど「実験体以上の価値」とはこういうことか、野心と政治利用とはなんともソヴィエトらしいというか。クライマックスへの盛り上がりからラストの大逆転に上手いと感心した第2巻は、そのまま第1巻の続編ともいえるものでした。良かったです、次は後塵を拝したアメリカ側の話か、楽しみ。

2017/05/12