内容説明
“よか医者どん”を見つけるために、村役場の民生課長・西さんは今日も奔走する。鹿児島県の西海上に位置する離島・下甑島。医師が一人去れば、住民は緊急時どころかごく当たり前の医療さえも受けられない現状。僻地に住む者は切り捨てられてもいいというのか―。西さんの奮闘ぶりと村人たちとの交流、そして人気コミック『Dr.コトー診療所』の主人公のモデルとなった医師との出会いを通して、命の重みや離島・僻地医療のあり方をも問う苦闘の医師探しドキュメンタリー。
目次
第1章 医者どんを早く!
第2章 聖夜に届いたプレゼント
第3章 老医師の死
第4章 Dr.コトー島に来る
第5章 醒めない夢
著者等紹介
西秀人[ニシヒデト]
1932年、鹿児島県薩摩郡下甑村(現・薩摩川内市下甑町)生まれ。56年より下甑村役場に勤務。72年から87年まで、民生課長として、村の診療所の医師確保に奔走、人気コミック『Dr.コトー診療所』の主人公のモデルとなった瀬戸上健二郎医師を見出した(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
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糜竺(びじく)
40
私が好きだったTVドラマ「Dr.コトー診療所」のモデルになった実話のノンフィクション本です。無医師地区、今どきそんな地域があるのか?と思われるかもしれませんが、離島、僻地においては存在するようです。私の住んでいる所は、病院もあり不便を感じませんが、それを当たり前に思ってはいけないな、と気付かされました。ドラマの主人公のモデルとなった瀬戸上健二郎医師が登場し、瀬戸上医師と行政との努力のもと、島での医療の現場が向上していくのを読んだ時にはすごいなと思いました。どの地域でも命は差別されてはいけないと感じました。2015/05/30
朱音
4
「孤島の唯一の医師」がいかに大変か…ではなく、その医師を探す側の方から書かれたもの。都会では考えられないような現状が今でも確かにある。2010/04/14
うたまる
1
『Dr.コトー診療所』のモデルとなった鹿児島県下甑島の医師探しドキュメンタリー。医師側ではなく招聘する行政側の視点なので、華々しい救命エピソードなどは少なめ。その代わりに離島の無医村ならではの問題や医師探しの苦労話が、訥々とした素朴な語り口で明かされている。語り口同様に穏やかで純朴な島民なのだろうが、一人の台湾人医師のコメントが喉に刺さった小骨のように気になった。「この村の人たちは、確かに親切そうに見えます。それでも、よその人、特に外国人には打ち解けてくれませんよ」。田舎の連帯感と排除とは表裏一体なのか。2018/01/27
ゆきじ
1
最先端医療を目指す人が居るその隣で、最先端でない医療に従事する人も必要なのだと思った。2011/04/14
アイガー
0
大好きなドラマ『Dr.コトー診療所』のモデルとなった実在する先生のエピソード。小さな離島では死亡診断書でさえなかなか出すことができない。死亡診断書がなければお葬式も出せない。都会ではなんでもない病気やケガが命になる。小さな診療所だけど、本当の医師の在り方がここにあると思いました。2012/01/30
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