出版社内容情報
80年前、都会の森はいかにしてつくられ、育てられたか。
大都会の真ん中に広がり、あたかも武蔵野の原野の面影を現代に伝えているかのような「明治神宮の森」は、実は80年前につくられた人工の森だ。「代々木」の地名の由来となったモミの木以外、これといった木も生えていなかった草原に、どのように大森林がつくられたのか。「全国献木運動」ほかの明治神宮造営の秘話や、現在の「森」を構成する樹木の魅力、四季折々の彩りとなる野鳥や花菖蒲、歴史ある見所などを、わかりやすく紹介。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
やすらぎ
96
元々そこに森はなく、代々木の練兵場だった。約100年前に作られた明治神宮の森。伊勢神宮のような杉並木はここの気候風土に適さず、なるべく人の手によらず天然更新ができるもの、林相は森厳で神社林としてふさわしいもの。年を経るにしたがい、老樹はしだいに枯死衰退することはあっても、林内には自然に落下する種子から発生する大小の年齢の異なる同種の樹木があるので、永遠にわたり自然に森林の更新が行われる。そして、本当の天然林になるにはあと200年はかかる。人は都市の中ある、まだまだ未熟な大自然を見守っている🌱🍀🌳☀️2019/02/15
yamakujira
5
タイトルの通り、明治神宮の「森」を解説してくれる。神宮造営前の風景写真を見ると、赤松の疎林が見事な鎮守の森に育っていることがわかって興味深い。明治神宮社務所編となっているけれど、ひとりの林苑職員が書いたらしいのに著者を個人名にしていないのは、遠慮なのか圧力なのか気になるな。現在の植物相や、神宮の森を作り上げた歴史、維持する苦労がよくわかる。「森をつくる樹木」「森をつくる草花」の項では写真か挿絵が欲しいな。また、野鳥には少し触れるものの、昆虫をはじめとした動物についての言及が物足りない。 (★★★☆☆)2016/10/23
双海(ふたみ)
2
こころ落ち着く明治神宮の杜。
ヨースト
1
東京・原宿にある明治神宮の境内にある森について、実際の管理者が解説した本。 この本を読むまで知らなかったが、この森は古くから存在しているものではなく、明治神宮を造営する際に並行して人工的に形成されたものだそうだ。それも、ただ闇雲に木を植えていった訳ではなく、周囲の環境や神宮に相応しいかどうかを条件に、木の種類や植樹する位置を考え抜いて行われている。 自分自身は木への造詣はないが、明治神宮の森の構造や形成までの過程が読んでいてとても楽しめた。2016/10/31
ぷっしー
1
明治神宮を歩くためのガイドブックと紹介されているが見所はむしろ、著者が行っている管理・運営の方針とその実態にあるのではないかと思った。ガイドブックとしては地図があまり充実していないのでいまいちかも。ただ文庫本なので、価格と持ち運びがしやすい大きさなのは○。他は明治時代をやたら賛美している宮司のコメントが気になるくらいか。2009/12/14