内容説明
十二歳の少年スティーヴンは、今日も母の弟ビリーの遺体を捜してヒースの茂る荒野にシャベルを突き立てる。十九年前に起きた連続児童殺害事件以来、被害者の母となった祖母は心を閉ざし、母もまた鬱屈した感情を抑えることができない。傷の癒えない家族を変えるためには、ビリーの遺体を発見し、事件を完全に終わらせるしかないと考えたスティーヴンは、やがて殺人犯である獄中のエイヴリーと手紙のやりとりを開始する。猟奇的殺人犯と十二歳の少年の危険な往復書簡は、次第に二人を思わぬ方向に導く…。英ゴールドダガー賞にノミネートされた傑作スリラー登場。
著者等紹介
バウアー,ベリンダ[バウアー,ベリンダ][Bauer,Belinda]
英国および南アフリカ共和国育ち。現在は英国ウェールズ在住。ジャーナリスト、脚本家としてキャリアを積み、初脚本作品「The Locker Room」で若手脚本家を対象としたカール・フォアマン/BAFTA賞を受賞。『ブラックランズ』で作家デビュー
杉本葉子[スギモトヨウコ]
大阪府生まれ。国際基督教大学教養学部語学科を卒業(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
鱒子
60
図書館本。イギリスの犯罪小説です。主人公は12歳のスティーヴン。彼が探すのは、11歳で殺された叔父にあたるビリーの遺体。それを探し当てればきっと家族は今より仲良く幸せになれるんだ、そう信じるスティーヴンは毎日穴を掘り続けます。やがてーー。著者デビュー作だそうで、なんだかうまくないところも随所に見られます。しかし、冷遇される少年の心理に切なくなります。そして後半のドキドキがたまらない!息を詰めながら一気に読みました。2018/10/27
♪mi★ki♪
33
連続殺人犯に伯父が12歳で殺され、遺体が出てこない状況のせいで祖母は心を閉ざしており暗く重苦しい家に住むスティーヴン。彼は伯父の死体を探してスコップで掘り続ける毎日を送っていたが、伯父を発見する為に殺人犯と暗号で文通し、駆け引きを始めるが…。スティーヴンは思春期に差し掛かったばかりで多感な時期。友達やいじめっ子などの苦悩も。緊張感もサイコ度も毒気も少なめ。連続殺人犯はステレオタイプで意外性無し。女性作家にしては陰湿度も低め。サイコ物慣れしていると先が読める。可もなく不可もなく無難過ぎて少し物足りないかな。2017/03/19
キクチカ いいわけなんぞ、ござんせん
26
忍耐のお話し。誰が忍耐の人かというと主人公の12才の少年である。放任され理不尽に不機嫌をぶつけられても貧困だから仕方ないのだろうか。同時進行で吉野朔実「period」を読んでいたので、不機嫌の嵐の中を人の顔色を伺いながらビクビク暮らす少年達が不敏であった。2016/05/26
あっちゃん
22
ミステリーというよりは少年の成長物語!殺人犯との気のきいた文通とかはかなりの賢さを感じさせるけど家族を慕う幼さが胸に迫る!登場人物は違うみたいだけど、三部作とい事で次も読みたい!しかし、ラバーネッカー最高だったけど孤独な少年(青年)書かせたら天下一品だな(笑)2017/02/03
むらさきめがね
19
被害者遺族の少年と加害者の文通。面白いアイデアだと思いました。しかし殺人鬼の心理描写のねちっこさといったら。よくここまで書けるわ~。ルイスの父の職業と、刑務所のその後が気になりつつ、少年の承認欲求の果てに少し晴れ間がのぞけたところで読み終わることができて安心。作者の別の作品も機会があったら読んでみたい。2015/12/26