出版社内容情報
ジョー・ヒルの最高傑作ホラー
『ハートシェイプト・ボックス』『20世紀の幽霊たち』などで着実のその地位を確立してきたモダンホラーの貴公子、ジョー・ヒルの最高傑作が誕生した。フランツ・カフカの『変身』に匹敵するプロローグから、息も尽かせない地獄の描写が、壮絶のラストシーンまで続いている。長編ホラーの歴史を変える、著者渾身の一撃!
内容説明
壮絶な復讐劇のすべてを、その角が知っていた。フランツ・カフカ『変身』に匹敵するプロローグから、魔物に取り憑かれたような息もつかせない描写が、壮絶なラストシーンまで続いていく。『ハートシェイプト・ボックス』『20世紀の幽霊たち』などの快作で、日本でも着実にその地位を確立してきたモダンホラーの貴公子の最高傑作。
著者等紹介
ヒル,ジョー[ヒル,ジョー][Hill,Joe]
1972年、米メイン州バンゴア生まれ。95年ヴァッサー大学卒業。二〇代で創作をはじめ、2005年、デビュー作『二十世紀の幽霊たち』(短篇集/小学館文庫)でブラム・ストーカー賞、英国幻想文学大賞、国際ホラー作家協会賞を受賞する
白石朗[シライシロウ]
1959年東京生まれ。早稲田大学第一文学部卒業。出版社勤務を経て英米小説翻訳家(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
1 ~ 1件/全1件
- 評価
-
ミスランディア本棚
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Tetchy
33
いやあ、さすがはジョー・ヒル。どのジャンルにも属さない素晴らしくも奇妙な味わいの作品を読ませてくれる。しかし本書は哀しい物語である。優しい者同士がお互いを強く愛するがゆえに起こった悲劇。そうこの物語は悲劇から始まる。そしてジョー・ヒルは悲劇から始まった彼らに対して安直な救いは用意しない。結末は苦いのになぜか爽快感が残る。もう少し削ればこの物語は傑作になりえただろう。ヒルの長編を読んで残念に思うのは全てを語らんとする冗長さだ。もう少しそぎ落とし、行間で語れるようになればもっとすごい作家になるに違いない。2012/05/16
アーチャー
21
角が生えたからって超人的なパワーを持つわけじゃなく、相手に本心(ほとんどが悪意でしたが)を語らせる能力を持った主人公の壮絶な復讐劇を描いた本作。作者のヒルは人間の欲深さをパパ・キングに匹敵するくらいの執拗な描写力を持って展開させています。しかし、それだけではしんどいだけの作品になってしまいますが、そんな主人公を本心から愛する人物達を描いたのが、大きな救いにもなっており、こういったところに(パパキング同様)作者が凡庸ではない才能を感じます。ただやたらヘビが登場するので映像化は遠慮しときますが・・・。2012/05/27
siva
16
朝起きたら角が生えていた。カフカかっ?という始まりだがその後は全く違ったお話。確かにキングの息子だなあ。ただ細かい描写の積み重ねで日常を描くことで違和感、異物感を増して行くお父さんの手法とは違い、いたずらに長い部分もありまだまだ洗練されていない印象。どんどん読めちゃうけど。ラストはフランダースの犬を思い出しちゃったのよ。2015/02/26
ぐうぐう
14
目覚めるとこめかみに角が生えていたという、カフカ『変身』を彷彿とさせる冒頭からは、まるで想像もできない物語が展開していく、ジョー・ヒルの長編第2作。触れると相手の本音を知ることができるという設定は、いやがうえにも父キングの『デッド・ゾーン』を連想させるが、その力を世界正義のために使おうとした『デッド・ゾーン』の主人公に対し、本書の主人公は、悪魔の所業として自らを貶める。キリスト教的世界観を、ジョー・ヒルはロックで彩り、やがて純愛の物語へと昇華させていく。間違いなく、ジョー・ヒルにしか書けない小説だ。2012/05/22
眠る山猫屋
13
思い込みと勘違い、友達はよく考えてから選ぼう、という物語か? キリスト教的倫理観に裏打ちされているので、真なる理解には及ばないかもしれない。罰とは何か、悪を見抜けなかったイグやメリン、兄ちゃんが罰を受けねばならないほど悪かったのか。 リーの正体を見抜けなかったとは言え、本当に悪い奴なんて、みんな偽善の仮面を被っているだろうに。だから、悲劇。 そうそう、ツリーハウスの神秘的な存在感には惹かれた。 2013/07/07