出版社内容情報
スペイン、フランス絵画の巨匠たちを、伊集院静が現地を旅しながら、独自の視点で読み解く人気絵画読本「美の旅人」シリーズ。今回はスペイン編(三巻)の第一巻でゴヤ。今後ダリ、ミロ、フランス編(三巻)と続く。
内容説明
人はなにゆえ旅をするのだろうか?作家・伊集院静がたった「一枚の素晴らしき絵画」にめぐり逢うため、スペイン・マドリードのプラド美術館から旅をはじめる。まずは“黒い絵”シリーズの『砂に埋もれる犬』をはじめとする天才フランシスコ・ゴヤの作品群とその軌跡をたどり、カスティーリャ地方からゴヤの生まれたアラゴン地方へ。異端の画家ゴヤは、何を見ていたのか?ゴヤが師と仰いだベラスケスや謎の多いエル・グレコの作品を前に、作家の目に映ったものとは?スペイン絵画の巨匠たちを、読んで旅するビジュアル読本待望のオールカラー文庫化。
目次
スペインの砂
幻滅通り
マハ(伊達女)の肉体
血を流す日常
ウルカヌスの鍛冶場
名画の意外なちいささ
家族の肖像
トレドの眺望
スペインの騎士
日本人の苦手な宗教画〔ほか〕
著者等紹介
伊集院静[イジュウインシズカ]
1950年、山口県防府市生まれ。81年「皐月」で文壇デビュー。91年『乳房』で吉川英治文学新人賞を、翌年には『受け月』で直木賞を受賞。その後も『機関車先生』で柴田錬三郎賞、『ごろごろ』で吉川英治文学賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
佐々陽太朗(K.Tsubota)
47
ゴヤから始まり、ベラスケス、エル・グレコ、そして再びゴヤとスペインの絵画を巡る旅を通じてスペインを、そしてスペイン人を知ろうとする。スペイン人を動かすものは何か。それはスペイン人の血である。血とは感情である。理性ではない。伊集院氏はこの旅を通じて、スペイン人の感情を血の流れる音を聴いたに違いない。それは先日読んだ小説『楽園のカンヴァス』において原田マハ氏が「画家を突き動かすのはPASSION/情熱である」としたのと同義であろう。しかし私にはゴヤが理解できない。スペインは遠い。2012/09/29
KAZOO
38
伊集院さんがむかし週間ポストかに連載されていたものをまとめたものであると思います。さまざまなところにいかれて美術館などを訪問して感想を書かれていたものだと思います。読んでみてもかなりしっかりとした審美眼をお持ちになっている様子がうかがえます。エル・グレコやゴヤについてのかなりの文章は読ませてくれます。わたしも何十年か前にプラド美術館をいくどか訪問したことを思い出しました。2015/01/13
ソバージュ
10
マドリッドと近郊を旅しゴヤの生涯と作品について述べられ、少々エル・グレコ、ベラスケスにも触れられている。数多くの作品説明は美術専門家でない視点なので幾分親しみやすく、旅行気分も味わえる。巻末には人名、土地、作品の注や地図が掲載され、絵画鑑賞目的の旅には重宝しそう。闘牛は一度は見たいと思っていたが難しいかな。2020/11/16
ランラン
9
再読。スペインには有名な画家そして美術館が多くある。特にカタルーニャのバルセロナにはピカソ美術館、ミロ美術館、マドリード、トレドにはプラド美術館などなど。ゴヤの魅力、特に聾者の家に描かれていた黒い絵シリーズ、闇への入り口として紹介されているが解説が分かりやすい。2025/05/03
ランラン
9
再読。スペインは有名な画家を多く輩出しているがその理由は土地、気候、熱い民族性なだ様々あるが一度は美術巡りをしてみたい。2022/12/04