出版社内容情報
「ムウ」それは禁断の真実。手塚治虫が仕掛けた、最大の問題作。
正義と悪をテーマにした手塚治虫原作の映画を本格ピカレスク小説にまで昇華させた究極のノベライズ。
内容説明
バンコクで起きた日本人誘拐事件。巨額の身代金と二つの生命を奪い犯人は逃走した。捜査にあたる警視庁の沢木は二人の男と出会う。LA新世紀銀行勤務の結城美智雄と、山の手教会で聖職につく賀来裕太郎。「俺たちは一枚のコインの裏表さ」二人はある共通の過去を背負って生きていた。一方、事件の取材を進めていた牧野京子は、十六年前とある島で起きた酸鼻な事件と疑惑に行き着く。その先には、政府により闇に葬られた凄惨な過去と、そのとき島に残された二人の少年の真実が―。手塚治虫原作の映画「MW」を、本格ピカレスク小説に昇華させた至高のノベライズ。
著者等紹介
司城志朗[ツカサキシロウ]
1950年愛知県生まれ。名古屋大学卒業後、放送作家から小説家に。83年、矢作俊彦氏との共著『暗闇にノーサイド』で角川小説賞を、98年『ゲノム・ハザード』でサントリーミステリー大賞読者賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
りゅう☆
88
身代金誘拐事件で娘を殺し、父親も射殺した結城。この事件を沢木刑事が追う。幼馴染の神父賀来は結城の犯罪を阻止しようと説得するも聞いてもらえず。2人は全住人が死んだ島の生き残りだった。この島に何があったのか。荒川のバラバラ事件、バンコクの誘拐事件、銀行の横領事件。その中心にいるのが望月大臣。そう掴んだのは女性記者京子。MWを探すべく3人で無人の沖之真船島に向かうも…。これって原作は手塚治虫なのね。結城の最後の一言に謎を含ませてるようでその曖昧さがスッキリしないけど、原作で詳しく描かれてるのなら読んでみたいな。2018/12/06
Kaz
11
手塚治虫原作ということで、深いメッセージを読み取ろうと思ったのですが、中盤あたりから凡庸な作品に感じ、普通のエンタメ作品として読了してしまいました。原作を読めば、また感想も違ったものになるのだろうとは思いますが。2017/09/22
きたさん
7
原作や映画は未見なのでなんともですが、このノベライズだけの感想でいうならば最近では見られない感じの結末が好みで、それだけで満足。もっと独特な空気感の作品なのかと思っていたけれど、案外普通のサスペンスだった。2016/05/18
しをり
7
原作の漫画、実写映画化、映画のノベライズ。この作品は、原作と映画は切り離すことはできるけれど、映画とノベライズは完全な補完関係で、どちらか一方だけでは絶対に勿体ない終わり方をしてしまうとおもう。原作にも映画にもないノベライズオリジナルの解釈もあるし、結城や特に賀来の苦しみや葛藤も強く描かれて、それが結末へ向けての盛り上がりをより強めてくれる。ピカレスクとは一言でいえば悪役小説らしいが、これほどまで残虐非道で人の命を奪うことを全く躊躇わないというのも珍しい。原作のように結城の思いや行動を見てみたかったかも。2012/06/14
コナン
6
映画をみていない。手塚治虫の原作も。純粋に小説として、おもしろかった。帯に「手塚治虫が仕掛けた、最大の問題作」亡くなって久しい今も、現実的な恐怖を、タブーとされている社会問題を提起し続ける。すごい。司城さんも気になる作家さん。20122012/06/17