出版社内容情報
海千山千「迷」探偵たちのあきれた事件簿
探偵を名乗るものは皆、ある一定の調査力を持っている……わけではない。現在、日本では探偵社・興信所・調査会社を取り締まる法律や規制がないため、なろうと思えば誰でも探偵になれるから、ぱちもん業者が巷にわんさと溢れているのだ。ちなみに「ぱちもん」とは、偽物の意。本書は、そんな探偵たちの怪しい実態と、依頼人たちとのすったもんだを小気味よく、ときに優しい視点で描いた、シニカルな笑い満載のどつぼ系連作短編集。
内容説明
探偵という職業には、どこか胡散臭さが漂う。本書は、そんな怪しげなイメージを地でいく、調査費水増し請求、調査結果捏造なんて当たり前な“ぱちもん探偵”たちのあきれた行状を暴露する、ブラック系連作短篇集。探偵業で得たノウハウを駆使してさまざまな悪事を計画する「受けた恩義は」、探偵として一本立ちするという野望を抱いた男のトホホな顛末を描いた「カネのにおい」ほか全六編を収載。『かび』『とげ』など、巻き込まれ系小説の旗手・山本甲士氏が、シニカルな笑いに挑んだ新境地。
著者等紹介
山本甲士[ヤマモトコウシ]
1963年生まれ。96年『ノーペイン、ノーゲイン』で、第一六回横溝正史賞優秀作を受賞しデビュー
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
相田うえお
128
★★★☆☆17117 まさにこれが日本の探偵なんだろうなぁ〜といった系の短編です。なんか胡散臭くてひたすら地味〜ぃに怪しい日陰商売?みたいなイメージですよね。ホームズなどと同じ探偵業という職種だとはとても思えません。この作品、どの話も当方のツボにハマっちゃって楽しめましたー!●市民意見投函箱に向かって叫んでる人がいる。投函箱にこう書いてあった。『皆様のお声を聞かせてください』(^^; ●お嬢ちゃん、いくつ?って小ちゃな子に聞くと「...」黙ってもじもじしながら指を年の分だけ立てて見せてくれた〜可愛いね。2017/12/05
ヤスヒ
13
題名の「ぱちもん」とは偽物、まがいものを意味するらしい。本書は探偵を主人公にした短編集だが推理物でもミステリーでもない。いわば真っ当ではない”ぱちもん”な探偵たちの胡散臭さを前面に押し出したコミカル小説とでもいうべきか。調査費水増しや調査結果捏造なんかは当たり前、あげくに依頼者と調査対象者を両天秤にかけどちらからより多くの現金をむしり取れるかなんて目論んだり…。とんでもない探偵もいるもんだと思いつつも間の抜けた人間くささも垣間見え読んでいて楽しかった。ただこの本は表紙のイラストで損をしているような気が…。2012/07/18
けえこ
11
山本作品らしいブラック系の連作短編集。 「夫が消えた」が面白かった。2023/07/28
スナイデル
11
2.52022/10/10
Our Homeisland
8
面白かったです。この読書メーターでの読んだ人の数、少なすぎると思います。この作者のものは、もと読まれても良いのに、と思います。「三丁目の夕日」とも共通の、連作短編で、他の編の登場人物が次の作品にも出てきて、という構成が見事。でたらめな登場人物たちの織り成す泣かせる話も良いです。伏線となるエピソードが非常に効果的に種明かし的に後で出てくるのも素晴らしいです。「三丁目の、、」は東京舞台であるのに、同じ人が、 これだけ関西弁のものを書いているのもすごい。前に、1年だけ生野区に住んだことがあり、懐かしくもありまし2012/09/13
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