出版社内容情報
それでも生きろ、と言うのなら──
明治四十一年、十二歳のみつは、実父の持ってきた綺麗な着物に惑わされて、奈良から大阪に出たが、二百五十円で売られたことは後から知った。自分で自分の人生を決めることは出来ないと思い知らされる出来事だった。十三歳で舞妓・菜乃葉となり、旦那に身の潔白を証明するために小指を落としたのは、十四歳。かつて恋心を抱いた役者の写真を持っていたことが原因だった──。
東京に出て、新橋で芸妓・琴葉となった。相場師と結婚し、アメリカに渡った。その土地で出会った女性と恋をした。帰国して映画女優となった……運命に翻弄されながらも、自身の人生を手放さなかった生涯を描く。
【編集担当からのおすすめ情報】
「自分で決める」という行為は、歴史の中で、長いあいだ「女性」から遠ざけられてきた。
テキストレーターのはらだ有彩さんに、本作の解説をご寄稿いただきました。これは冒頭の一文です。歴史に名を残す人物たちの生涯を新たな視点で紐解いた『「烈女」の一生』の著者が、本作の主人公・みつの人生をどのように読んだか。本編とあわせてぜひお読みください。
【目次】
内容説明
明治四十一年、十二歳のみつは、実父に半ば騙されるように大阪に出た。二百五十円で売られたことは後から知る。自分で自分の人生を決めることは出来ないと思い知った。十三歳で舞妓・菜乃葉となった。結婚を約束した旦那に浮気を疑われ、身の潔白を証明するために小指を落としたのは十四歳。東京に出て芸妓・琴葉として活躍後、相場師と結婚して渡米。その土地で出会った女性と恋をした。帰国後は映画女優となり、三十八歳、出家を決めた―運命に翻弄されながらも、生きることを手放さなかった半生。
著者等紹介
窪美澄[クボミスミ]
1965年東京生まれ。2009年「ミクマリ」で「女による女のためのR‐18文学賞」大賞受賞。受賞作を収録した『ふがいない僕は空を見た』で11年に山本周五郎賞、12年『晴天の迷いクジラ』で山田風太郎賞、19年『トリニティ』で織田作之助賞、22年『夜に星を放つ』で直木三十五賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
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のじ
あんこ