出版社内容情報
徳川が構想した「近代」があった
元号が明治に改元される5か月前、幕臣小栗上野介忠順が新政府軍に取り調べを受けることなく斬首されるという事件が起こった。後に大隈重信によって「明治政府の近代化政策は、小栗忠順の模倣にすぎない」とまで称された逸材である。
万延元年(1860)、小栗は、日米修好友好条約の批准書交換のために派遣された徳川幕府遣米使節の目付としてアメリカを訪れた。そこで目にしたのは工業化、近代化が高度に発展した大国の姿だった。小栗は、工場で手にした一本のネジとともに帰国。日本の近代化に着手する。横須賀に製鉄所、築地に日本で最初の本格的なホテルを建造し、さらには近代的な陸軍の創設にもかかわった小栗の歩みを照射することで、幕臣らによって進められていた「徳川による近代化」の全貌をひもといていく。
さらに、咸臨丸でアメリカに渡った遣米使節の一員だった秀才・小野友五郎など、ニッポン近代化の礎として活躍した幕府のテクノクラートの足跡を辿り、なぜ彼らの功績が埋没したかを検証。抹殺された歴史の真実を解き明かす。
【編集担当からのおすすめ情報】
NHK大河ドラマ『どうする家康』で描かれた徳川家康による幕府創設の物語。それから約250年。幕末の動乱で「徳川の世」が揺れ動く。そうした中で、「徳川による近代化」を強力に推し進めたのが、三河以来の譜代家臣の家柄を誇る小栗上野介。ドラマの「大河」の250年先の世の中がどうなったのかを丹念に取り上げていきます。
内容説明
元号が明治に改元される5か月前、幕臣小栗上野介が新政府軍に斬首された。後に大隈重信によって「明治政府の近代化政策は、小栗の模倣に過ぎない」とまで称された逸材である。万延元(1860)年、幕府遣米使節の目付としてアメリカを訪れた小栗は、工業化、近代化が高度に発展した大国の姿を目の当たりにし、工場で手にした一本のネジとともに帰国。日本の近代化に着手する。横須賀に製鉄所、築地に本格的なホテルを建造し、さらには近代的な陸軍創設にも関与した小栗の歩みを辿ることで、幕臣が手がけた「徳川による近代化」の全貌をひもとく。
目次
序章 徳川近代という時代の存在
第1章 咸臨丸と小野友五郎(太平洋を横断した咸臨丸のウソ八百;無能を露呈した「海軍の祖」勝海舟;木村摂津守喜毅の覚悟;司馬遼太郎氏の麗しい誤認;咸臨丸の主役小野友五郎;テクノクラートとしての生涯)
第2章 自由貿易推進派岩瀬忠震の奮闘(旗本養子と部屋住み大名;阿部正弘による抜擢;堂々たる初めての日米交渉;日米修好通商条約は不平等条約か?;無知蒙味、正気の沙汰とは思われず;条約調印、大老井伊直弼の凄み)
第3章 徳川近代の柱・小栗上野介忠順(岩瀬忠震から小栗忠順へ、大老井伊直弼の覚悟;“ボンクラ使節団”の目付として;造船所から始まった近代国家への道;大老井伊直弼の密命;誰が小栗を殺した!?)
第4章 徳川近代の群像~奮戦、幕府歩兵隊~(歩兵と小銃;江戸脱出、流浪の伝習隊北へ)
あとがきに代えて 今こそ学ぶべき「江戸」という価値観
著者等紹介
原田伊織[ハラダイオリ]
京都市生まれ。大阪外国語大学卒。2005年『夏が逝く瞬間』(河出書房新社)で作家デビュー(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
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