出版社内容情報
藤岡 陽子[フジオカ ヨウコ]
著・文・その他
内容説明
舞台は、美しくもありときに恐ろしい顔を見せる海と島。三人のおじいさん=ジイの生き抜く姿と、そのジイから想いを受け取る人々の心模様を温かく、ときに明るく、ときに静かな筆致で描ききります。漁師のジイ、地元医療に尽くしてきた医師のジイ。石の博物館館長を務めるジイ。いじめから不登校に悩むひ孫、長年共に働いてきた四十代の看護師、進路に悩む孫…。それぞれのもとにやって来る大切な人に、三者三様の方法で“生き抜くこと”の大切さを静かに寄り添い熱く伝えます。読後、人生に希望をもたらす一冊
著者等紹介
藤岡陽子[フジオカヨウコ]
1971年京都府生まれ。同志社大学卒業。報知新聞社を経て、タンザニア・ダルエスサラーム大学留学。慈恵看護専門学校卒業。2006年「結い言」が、宮本輝氏選考の北日本文学賞選奨の選奨を受ける。09年『いつまでも白い羽根』でデビュー。21年『メイド・イン京都』で京都本大賞受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
シナモン
121
瀬戸内海に浮かぶ小さな島を舞台にした3人のジイをめぐる物語。 「老いていくのが恐ろしい。自分が自分でなくなるのが怖い」それでも自分を必要としてくれている場所で精一杯最後まで生きる。この先の自分の道標になるような一冊だった。とても良かった。💘逃げてもいいが、逃げ続けることはできないんじゃ。自分の人生から逃げることなど、できないんじゃよ。2024/09/03
のぶ
116
タイトルの通り、海とおじいさんをテーマにした三篇の中短編集。「海神~わだつみ」は短くあっという間に読み終わった。「夕凪~ゆうなぎ」に出てくる老人も良かったが、自分の一番のお気に入りは最後の「波光~はこう」主人公の澪二はすべてを陸上競技に捧げてきたが、怪我により内定していた推薦校にも入れず人生どん底に落ちてしまう。失意で子供の頃訪れていた島にある祖父の家へ行き、石の博物館のリニューアルオープンの準備を手伝ううちに段々自分の本当の姿が見えてくる。祖父や周りの人たちとの触れ合いに癒されるような作品だった。2022/09/16
あすなろ
115
私は何を残せるだろう。3人のジイの生き抜く姿より。そんな帯と共に書店でジャケ買い。不覚にも数回涙してしまった。僕には本来当たり前だが2人のジイがいる筈であり、既に父親もジイとして存在している筈である。ところが、その3人共目にした事がない。2人のジイは僕の誕生前か直ぐ後に他界。ジイになれた筈の父も早く亡くなった。だから単純な憧れ的な物がある。一方で、月島先生が吐露する様に、彼等が自分が自分で無くなる怖れに苦悩する姿も知りはしない。でもそれも含めこの僕にとっての3人が僕に何を見せて、見せたかったのかと夢想する2024/09/22
相田うえお
100
★★★☆☆22116【海とジイ (藤岡 陽子さん)k】3編構成の短編集。タイトルの通り、海とじいさんをおかずにしたお話です。◯『誰かと生きるということは、楽しいことだろうと思う』たしかにその通りだと思います。ま、気の合わない人じゃない限りはですけど。◯『八十三のじいさんと七十三のじいさんではそうも変わらないだろうが、二十八と十八では、なにもかもが違う』これはどうかな。七十三と八十三だって、しっかり十年分は違うよ◯医者だって人間なんだから、老いることも当たり前だし、病気になることだってあるんだよなぁ〜。2022/12/21
しげ
84
三人三様ジイの生き様物語、個人的には限り無くジイ達の年齢に近づいている自分を感じる日々ですが、物心ついた頃には父方、母方共に祖父は他界しており「ジイ」との思い出が無く寂しく思います。本編に登場するジイ達が人生の最後に伝えたい想いは「生きることへの潔さ」なのかなぁ…と感じます。思い通りに行く事の方が少ないのが人生、困難とどう向き合って欲しいかを諭している様に思う。でも…やっぱり諄い「ジイ」は嫌われるのかなぁ…2023/05/05
-
- 和書
- 民法 放送大学教材