小学館文庫<br> 石巻赤十字病院の100日間 (増補版)

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小学館文庫
石巻赤十字病院の100日間 (増補版)

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  • サイズ 文庫判/ページ数 288p/高さ 15cm
  • 商品コード 9784094062762
  • NDC分類 498.89
  • Cコード C0195

出版社内容情報

この医療活動は日本の底力だ。

簡易ベッドで埋め尽くされた待合室、廊下にあふれる被災者、家族の安否もわからないまま不眠不休の極限状態で働く医療従事者の姿――東日本大震災で災害医療の最前線となった石巻赤十字病院での全記録です。

約20万人が居住する石巻圏の医療施設がほぼ壊滅状態となり、唯一、水没を免れ、自家発電機を所有していたこの病院に人々が殺到。また、石巻市役所が浸水のため孤立、一時は300か所以上に膨れあがった避難所への医療提供やアセスメント(評価付け)も医師自らが担いました。結果的に救えない命も少なくはありませんでしたが、それを最小限に留める努力を、赤十字の組織力と機動力をもって全力で行ったこの病院の取り組みは、今後の災害医療のモデルケースになるともいわれています。

かつてない規模で行われた過酷なトリアージ、津波被害特有の“低体温症”患者への対応、避難所の劣悪な環境が引き起こした肺炎――石巻赤十字病院が体験した死闘の100日間を追い、そこで生まれた様々な人間ドラマと交差させながら描くノンフィクションです。

ロングセラー単行本を、増補(5年後の石巻赤十字病院・約1万8000字)して文庫化!

内容説明

ロビーにあふれる被災者、家族の安否もわからないまま不眠不休で働く医療従事者の姿―3・11当時、連日テレビで石巻赤十字病院の様子が報道された。約20万人が居住する石巻圏の医療施設が壊滅状態となり、唯一、水没を免れ、自家発電機を有していたこの病院に人々が殺到していたのだ。約300か所にまで膨れあがった避難所への医療提供やアセスメント(評価付け)も自らが担うことに。赤十字社の組織力と機動力をもって、全力で医療活動を行ったこの病院の取り組みは、今後の災害医療のモデルケースになるともいわれる。生きた教訓となるノンフィクション。

目次

1章 地震発生(三月一一日午後二時四六分;災害対策本部立ち上げ、災害レベル3を宣言 ほか)
2章 石巻二二万人の瀬戸際(看護専門学校、避難所の二日目;取り残された避難所・渡波小学校 ほか)
3章 終わらない災害医療(薬を流された人々の生命線;感染症対策チームの避難所巡回 ほか)
4章 五年後の石巻赤十字病院(数字で振り返る3・11震災;被災者であり救援者であった看護師 ほか)

著者等紹介

由井りょう子[ユイリョウコ]
1947年長野県生まれ。大学在学中から雑誌記者として活動。現在は、医療や介護関係、ノンフィクションなどの執筆を手がける(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

しいたけ

99
壮絶の一言。日頃の真剣な訓練があり、マニュアルが頭に入っている優秀な人材が揃い、リーダーシップをとれる災害医療コーディネーターがいる。高台に移転した建物は被災を免れた。これだけお膳立てがあっても太刀打ち出来ない圧倒的な災害。生死を問わず運びこまれる被災者。我が子ではと震えて見る医師や看護師。実際あとで夫の死を知る者もいる。患者だけでなく被災者も押しかける。漸く落ち着きを取り戻した病院で看護師長が言う。「私たち、がんばったよね。みんな傷ついたけど、がんばったよね」テレビドラマとは比べようのない重さがある。2017/03/24

ゆうゆうpanda

41
2006年海岸から4.5kmに免震構造の新築移転していたという石巻赤十字病院。3.11で設備自体は殆ど被害を受けなかった。この病院が無事でなかったら被害はもっと拡大していただろう。スタッフ自身も被災者でありながら不眠不休で治療にあたる。機能しなくなってしまった自治体に代り臨機応変に対応した決断力、組織力、機動力には敬服するしかない。その中心となった石井正は言う。全ての医療従事者はエモーショナルになってはいけない。ミーティングに感想を述べることを禁止して報告だけとした。厳しさあって乗り越えられた現場だった。2017/03/12

piro

37
今年も3月がやって来た。あの時医療の現場で何が起きていたのかを知りたいと思い手に取った一冊は、震災で甚大な被害を受けた石巻市の基幹病院・石巻赤十字病院のルポルタージュ。地震発生4分後に災害対策本部立上げ、57分後にトリアージエリア設置・医師の配置完了。まずその迅速な対応に「プロの仕事」を見ました。日頃の訓練、そして現場の方々の意識の高さを強く感じます。自らが被災者でありながら、医療を止める事なく奮闘した方々には本当に頭が下がる想い。自助共助を念頭に我々も「その日」に備えねば…。2024/03/13

ikedama99

10
職場の図書館本。まず、よくこれだけ記録が残っていることにびっくり。災害マニュアルのなかにある分刻みの記録の賜物か。災害対策本部の立ち上げが地震の4分後というのも事前の取り組みが周到だからだと思う。ただ、実際の動きはその準備を上回る(量的にもそうだし、こんなことがおきるのかという質的な部分でも)ことが連続的に起きてくる。それでも、初動がしっかりしているからか、工夫と協力を組み合わせて対応していくことができているようにも思える。「災害拠点病院への道」の節で、「とうとう来たよ」と災害救護係長がつぶやく。2024/03/20

fengui

9
免震構造であり、津波の被害も免れた石巻赤十字病院。 けが人は元より、行き場を失った人もやってくる。 文字では著せないほど壮絶な現場だったと推察します。 行き先のない人に帰ってもらい、転院してもらわないと診察が出来ない、辛かっただろうなぁと。 忘れがちですけど病院で働く人も被災者なんですよね。 日ごろの訓練と、心がけと人柄と臨機応変さ。 2017/04/20

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