出版社内容情報
フランスの巨匠が出版界を描く驚くべき傑作
この長篇小説は三部構成になっている。
まず第一部は、作家志望の若いヴァランタン・サラゴスの視点で描かれる。まるでバルザックを思わせる、社交界とマスコミ(出版社・新聞社)、そして有名無名の作家、批評家たちがうごめくパリの人間模様が活写される。もちろん上流夫人との恋愛もたっぷり。
驚くべきことに、読者の予想を裏切って、第一部は主人公の自殺で幕を下ろす。
そして第二部。無名の作家サラゴスは、皮肉なことに死後有名なベストセラー作家になっている。語り手は、サラゴスの甥のアドリアンである。彼はサラゴスの評伝の執筆にとりかかっている。生前の叔父を知る人々を訪ね歩く(読者は第一部の登場人物たちが語る「嘘」あるいは「記憶の改変」に愕然とする)。この第二部は、20世紀の新しい文学(モダニズムとミステリ)の手法で描かれる。そして、短いが鮮烈な第三部がくる。
純文学というよりはエンタテインメントというべき長篇小説である。
見事なストーリーを小笠原豊樹の名訳で楽しめる最高の贈り物。
内容説明
巨匠が描く三部構成の物語。第一部は、新人作家ヴァランタンの視点で描かれる。社交界とマスコミ、そして有名無名の作家、批評家たちがうごめくパリの人間模様…もちろん上流夫人との恋愛も。しかし、十九世紀小説のような物語は、読者の予想を裏切る展開でいきなる幕を下ろす。そしてミステリの手法を取り入れた斬新な第二部が始まる。無名の作家は皮肉にも死後人気作家になっている。語り手は、甥のアドリアン。彼は叔父の評伝を書くために第一部の登場人物たちを訪ね歩き、天才作家の虚と実の間を揺れ動く。そして最後に、鮮烈な第三部が待ち受けている。
著者等紹介
トロワイヤ,アンリ[トロワイヤ,アンリ] [Troyat,Henri]
フランス屈指のベストセラー作家。1911年モスクワ生まれ。20年にロシア革命を避けて一家でフランスに亡命。38年、『蜘蛛』でゴンクール賞を受賞(対抗馬はサルトルの『嘔吐』)。2007年逝去
小笠原豊樹[オガサワラトヨキ]
1932年生まれ。翻訳家として露仏英の三ヶ国語を自在に操る。岩田宏の筆名で詩、小説、評論も多数。2013年『マヤコフスキー事件』で読売文学賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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