小学館文庫
絡繰り心中―部屋住み遠山金四郎

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  • サイズ 文庫判/ページ数 314p/高さ 15cm
  • 商品コード 9784094060331
  • NDC分類 913.6
  • Cコード C0193

出版社内容情報

金四郎が掴んだ花魁の死の真相と切ない思い

吉原日本堤の外に広がる田んぼで、稲本屋の花魁・雛菊が刀で斬られて亡くなっていた。見つけたのは、昨夜雛菊と話を交わしていた、18才の遠山金四郎だった。金四郎は、実は旗本家の跡継ぎだったが、複雑な家族関係から遠山家を継ぐことは当分無く、家を出て歌舞伎の森田座で笛方をしていた。
金四郎は、旧知の狂歌師・大田南畝、浮世絵師の歌川国貞とともに、彼女がだれに殺されたのかを探り始める。調べを進めていくと、雛菊があるときから店に来る男たちに心中を持ちかけていたことを知る。
彼女は、なぜ心中を望むようになったのか。
金四郎は、いつしか雛菊の暗い心のうちに踏み込んでいく。そして、彼女に関わっていた男たちも、いろいろなものを抱えて生きていることに気づき、簡単には変えられない世の中の非情さと己の無力さを知るのだった。
雛菊の死を巡る謎は意外な真実が待ち受けており、全編サスペンスに溢れた優れたミステリーにもなっている。
第11回小学館文庫小説賞の受賞作。文庫化にあたり、「恋の手本となりにけり」から題名を変更し、著者が大幅に加筆しました。



【編集担当からのおすすめ情報】
この作品のきっかけとなったのは、著者の永井さんが新聞記者時代に受け取った1通のファクスだったといいます。「身元不明の変死体発見」と書かれたその事件に、とてもショックを受けたそうですが、結局記事になることもなく消えていきました。そんな人たちのことを考えた著者が、時代を江戸時代に置き換えて書き上げたのが、この作品です。

内容説明

十九歳の遠山金四郎は、前夜話を交わした吉原の花魁・雛菊が切られて亡くなっているのを発見する。旧知の狂歌師大国南畝、浮世絵誌の歌川国貞とともに、彼女の殺害の真相を探り始めると、雛菊は男たちに心中を持ちかけていたことを知る。なぜ心中を望むようになったのか―。金四郎は、いつしか雛菊の心の闇に踏み込んでいく。そして、彼女に関わった男たちもいろいろなものを抱えていることに気づき、世の中の非情さと己の無力さを知るのだった。デビュー作にして、時代ミステリーの秀作が大幅加筆で文庫化

著者等紹介

永井紗耶子[ナガイサヤコ]
1977年横浜生まれ。慶應義塾大学文学部卒。新聞記者を経て、フリーランスのライターとして、雑誌、新聞の記事を執筆。2010年、『絡繰り心中―部屋住み遠山金四郎』で第十一回小学館文庫小説賞を受賞し、『恋の手本となりにけり』の題名で刊行し、作家デビュー(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

いつでも母さん

141
長屋暮らしの19歳の青年・遠山金四郎が若い!(当たり前?)前夜、言葉を交わした花魁・雛菊の遺体を発見するところから物語は始まる。狂歌師・太田南畝や浮世絵師・歌川国貞らの下で世の絡繰りをまさに体感するのだ。願った結末は一件落着などみないのが面白い。社会とか身分とか‥いつか名奉行と呼ばれる下地はこのあたりから蓄えられたのだろうと、今だから勝手に思いを馳せるのも心地良かった。 2023/03/27

優希

82
迷い悩む人たちが多い印象を受けました。不幸に追い込まれていくような心の闇から世の中の非情さが見えます。若くして家を飛び出し、長屋暮らしの浪人の身となった遠山金四郎が吉原の花魁・雛菊の殺害事件に浮世絵画家の歌川国貞と挑む中で知っていく心の想い。自分の無力さに気づくのはまだ未熟な青年だからでしょうか。江戸のしきたりや人間関係にしばられた人たちが苦しさを感じさせました。2016/03/03

真理そら

63
『恋の手本となりにけり』。複雑な立場のために社会勉強のためという理由を付けて実家を出て長屋暮らしをしている若き日の遠山金四郎。長屋暮らしの金四郎さまを知っておきたいと長屋にいきなり登場する許嫁のお恵さんが可愛い。世間のしがらみ、からくりの中で生きにくい人たちの姿を描いていて花魁の周到に準備された心中もそういう姿の中の一つ。ただ、世間というか社会がどれほど生きにくくて自分が不幸であっても犯罪の原因を社会のせいにしてはいけない。最近の衝撃的な事件の犯人に対する同情的な報道を見ていると少し不快な気分になる。2022/07/16

Mc6ρ助

16
『「俺が笛方になりたかった理由、分かりました」・・「芝居小屋の騒がしさと同時に、てめえの頭の中の雑な思いも、全部取っ払ってくれる。あの澄んだ音に俺は救われたんですよ」(p149)』それでも生きていくことは素晴らしい、とウルウルするのだが、目をそらされているうちにヤリガイ搾取みたいにいろんなもの(税金とか社会保険料とかだけじゃなく)を吸い上げられているとふと思ってしまう。ウルウルしてもイイじゃないか、との間で揺れ動く。永井さんのデビュー作、これはよい。2023/04/15

ごへいもち

9
別版で読了

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