出版社内容情報
プノンペン拘置所歴半年の著者が描く、謂われのない罪で収監された男の驚異の脱出劇。騙し騙されの頭脳戦、張り巡らされた伏線が最後まで息をつかせない前代未聞のアジアン・ノワール。解説・馳星周。
内容説明
札幌の中学の教壇でチョークを握っていた私は、気が付くと灼熱のカンボジアで牢獄に繋がれていた―。プノンペン拘置所歴半年の著者が描く、謂われのない罪で収監された男の驚異の脱出劇。騙し騙されの頭脳戦、張り巡らされた伏線が最後まで息をつかせない前代未聞のアジアン・ノワール。各紙誌の書評欄を席巻した衝撃の超問題作、ついに文庫化。
著者等紹介
沢井鯨[サワイクジラ]
横浜市出身。中学教師を辞し97年、放浪先のプノンペンにおいて謂われなき罪で懲役一二年の刑を一方的に宣告され、半年に及ぶ過酷な獄中生活を送る。『P.I.P.』はその体験をもとにしたデビュー作
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
90ac
7
これは小説というより“カンボジア滞在紀”あるいは“プノンペンの監獄体験記”と言ったほうが近いような作品。しかもカンボジアの近代史を強引に学習させられる。一言で言えば“カンボジアは大変な国”ということだ。ただ作者が体験を通して語りかけるのは、我々日本人の善意というものは、日本が安全で平和が故に成り立っているわけで、世界では通用しないということ。我々の天下の日本人なんだという“思い上がり”は世界の人々にとってはただの“滑稽”な人種だと受け止められるだけだ、ということだろう。2012/03/25
旭川の格闘技ジムHLCGYM会長 Koji Takeuchi
2
刑務所内での心理戦というか、騙し合いから読むのが止まらなくなった。ドキドキしながら読めました。2024/02/06
美麗
2
カンボジアで投獄されたロリコン教師のフィクションとノンフィクションが混じった小説。美化された少女との恋愛(?)パートや監獄内での喧嘩パートはあからさまに主人公(著者)がかっこいいのでフィクションだとわかりやすい。解説で馳星周も言ってたけど、稚拙な文章を補うだけの熱量があるので読んでて退屈はしなかった。でも椅子で殴る描写で『ガタンッドッスンゴトンッ』って書いちゃうのはどうかと思うよ…いくらデビュー作でもそれはないわ。2014/09/07
Takako Kanahashi
2
ハラハラドキドキ。理不尽に逮捕され、どうしようもない状況の中で、知恵を絞っての脱出。 それもその国のやりかたにそって・・・状況が違えば、成し遂げられないやり方。 新聞報道とは違う内情もまた、面白い。 それにしても、人を信じられないと言う事は、心が休まらなくて疲れることだろう。2014/04/01
pokomoko
2
実体験を基に書かれたというこの本の全てを鵜呑みにしてはいけないのかも知れないが、ここに書かれている内容は衝撃だった。これを単純に文化の違いと割り切っていいものか。『キリングフィールド』の裏で糸を引いていた者の正体とその目的がはっきりと書いているがこれは噂の段階でよく囁かれていたものではあるがこうはっきりと書かれると犠牲になった数多くの人々の事もあり戦慄に近いものを感じた。少女が最後まで理想的過ぎて絶対最後で裏切るぞ、何て思ったんだけど・・・主人公の未来がこのまま平穏でありますように祈るばかりです。