内容説明
ニューオーリーンズ出身のカウボーイ、ベン・タイラーは、馬を売るべくキューバに渡った。折も折、アメリカの戦艦がキューバのハバナ港で爆沈され、スペインとの戦争に突入する気配を漂わせていた。ホテルのバーで絡んできたスペイン軍人を撃ったことからタイラーは投獄されてしまうが、アメリカ人大農園主の情婦と家僕のキューバ人らがなぜかタイラー救出に動き出す。敵か味方か、それとも?事態はやがて巨額の誘拐身代金争奪戦へと発展し…!?犯罪小説の巨匠が描く歴史冒険ロマン。1898年の混乱のキューバを舞台に、クセモノたちの思惑が絡み合う。
著者等紹介
レナード,エルモア[レナード,エルモア][Leonard,Elmore]
1925年、ニューオーリーンズ生まれ。六〇年代末から犯罪小説を発表。憎めない小悪党を軽妙な筆致で活写して、新風を巻き起こす。92年、MWA(アメリカ探偵作家クラブ)のグランド・マスター賞を受賞
高見浩[タカミヒロシ]
東京生まれ。雑誌編集者を経て翻訳家に(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
DEE
16
1800年代終わりのキューバ。アメリカとキューバを占領していたスペインとの戦争が始まろうとする中で、巨額の身代金を巡る駆け引きが始まる。 いったい誰が裏切るのか、誰が得をして誰が割を食うのか。砂埃の舞う当時の空気感はなかなかいいが、前置きがちょっと長かったかな。2020/03/05
qsan
5
舞台は1898年キューバ。スペインの統治に対してアメリカが仕掛けたキューバ解放戦争です。いつものミステリーのジャンルとはちょっと違った歴史冒険小説といったところでしょうか。そのためかレナードタッチと言われるいつもの軽妙な会話や表現も少し大人しく感じられます。とても好きな作家の一人でしたが、2013年に亡くなってしまったのは本当に残念です。2016/04/02
Hotspur
4
1998年刊。時代設定は1898年、背景となる舞台は米西戦争前夜から終戦にかけてのキューバ、というこの作家には珍しい歴史冒険ロマンで、しかも直球。当時のキューバーの社会情勢や米西戦争の実情が詳しく描かれていて(もちろんテディ・ルーズベルトの「ラフ・ライダーズ」なども言及される)、実に興味深い。軸となるのはアメリカからやってきたカウボーイのベン・タイラーと現地大農園主ブドローの愛人アメリアとのロマンスだが、二人を取り巻く様々な立場のキャラたちや、その間で交わされる会話がレナード・タッチ全開で堪能できる。2022/08/03
Tetchy
4
レナードの物語の特徴として先の読めない展開と各登場人物たちの軽妙洒脱な会話。悪人なのにどこか憎めない奴らといった際立ったキャラクター造形が挙げられるが、今回はいつもの作品と違い、なんとも大人しい感じがした。特に軽妙洒脱な会話と、憎めない悪人どもといった部分が成りを潜め、どこか単調な感じがした。先の読めない展開については健在。列車からの身代金強奪劇と見せ場はあるけれど、いつものようなカタルシスが得られるほどには至っていない。2010/01/29
バ度ホワイト
3
キューバを舞台にした歴史小説ということで敷居が高いな理解できるかなと躊躇してたけど、そんなことな~い!狂言誘拐あり大金争奪戦ありでいつものレナード先生楽しかった 以前コーエン兄弟で映画化の話があったけどいつのまにか消えて無くなってしまった・・2016/06/01
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