内容説明
「きみといても楽しくない」。なぜ夫の心は自分から離れてしまったのか。エーヴァはヘンリックの気持ちをとりもどそうと必死だった―。ヨーナスという若者がいた。植物人間となってしまった恋人アンナを献身的に介護している。だが、その看病ぶりは常軌を逸しているようだ―。ヘンリックに不倫の疑いを抱いたエーヴァは、憎悪の炎を燃やす。二組のカップルの葛藤が、ある晩思いがけない出会いを生み、そこから恐ろしい破局が始まる…。ベスト北欧推理小説賞受賞の実力派女性作家が、男女の心の奥底を緻密に描いて新境地を開くサイコサスペンス。
著者等紹介
アルヴテーゲン,カーリン[アルヴテーゲン,カーリン][Alvtegen,Karin]
1965年スウェーデン生まれ。作家、テレビの脚本家。98年『罪』でデビュー。2000年『喪失』(ともに小学館文庫)で、北欧五か国の推理小説家が対象のベスト北欧小説賞を受賞している
柳沢由実子[ヤナギサワユミコ]
上智大学文学部英文科卒業後、ストックホルム大学スウェーデン語科修了(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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紅はこべ
97
愛する人に愛されていないと知った時のそれぞれの対応。確かにエーヴァはやり過ぎだけど、妄想ストーカーのヨーナスも気色悪いけど、リンダは唐田えりかだけど、最初からヘンリックが好きな人がいるって正直に告げればよかったのに。「きみといても楽しくない」ってひどいdisり。全否定じゃん。そもそもヘンリックが元凶。フリーセックスのスウェーデンでエーヴァのような価値観もあるんだ。義父母問題はどこの国もあるんだ。2020/01/26
siva
12
北欧らしい心理サスペンス。猟奇ではないけれど、ドロドロどんより読後感、誰にでも勧められるものじゃないけど、北欧小説お好きな方はどうぞ。2015/04/28
ひらり なつ子@療養中 気持ちは元気
7
人はいかに自分本位に物を見、考えているかがよく分かる。そして、自分の見方が唯一で、正しいと信じて疑わない。その自分の「正義」の立場で周りの人間を評価し、また要求をし、その結果、不満を持ち、自分が被害を受けていると感じる。登場人物全員がそういう人たちだが、強迫性障害を患っているような男がそれを一段と強調している。スウェーデンについてはよく知らないが、他人が個人情報を簡単に取り出せることに驚いた。固定電話に出る時にファーストネームを名乗るのも不思議。この本、あまり読まれてないことも意外。こんなに面白いのに。2015/08/12
Ayah Book
5
スウェーデンの女性の作家さんが描く、不倫をきっかけに転落していく心理サスペンス。物語が厭な方へ厭な方へ転がっていくのを、読者はどうすることも出来ない。「もうやめて」と言いたくなるが、登場人物が皆屑なので、こういう結末しかなかったような気もする。。。2017/09/21
凪
5
夫の不倫という裏切りに憎悪の炎を燃やす妻と、植物人間になった恋人を異常なまでに献身的に介護する青年が出会ったことから、物語は破局へと転がりだす。いや〜・・・恐ろしい本でした。裏切りは、人を壊すんですよ・・・。てか、確かに奥さんの復讐もエゲつないけど、浮気相手の女が社会的に何のペナルティも受けないのもどうかと思います。そこまで追い込んだのはお前だろ・・・。まあ、人を呪わば穴二つってことなんですけどね。パラノイアな彼にいたっては、もう・・・。エンディングのゾワゾワ感がハンパないとだけ申し上げておきます。2016/03/21