出版社内容情報
災厄の〈予兆〉とされた怪物たち。畸型と怪物の集大成。
怪物とは〈反自然〉の存在である。したがって地理的に自然の埒外と考えられた辺境の地には、多くの怪物が住むものとされた。アフリカ、南半球、新大陸がそれにあたる。〈反自然〉の存在は〈異常〉であり、それは来るべき災厄の〈予兆〉として意味づけられた。かくして〈畸形学〉と〈怪物学〉が発達することとなった。本編に収録したカラー図版は、他では見ることのできない貴重なもので、旧版を大幅に増補し、解説も加筆されている。
内容説明
怪物とは「異常」「例外」の別称であり、怪物研究は、自然界の「例外」を扱った「畸型学」、自然の埓外とされた辺境の地に住む怪物を対象とする「怪物学」として発達した。怪物の出現は災害の予兆とされ、それは人類に対する警告と受けとめられた。時代の混乱のエネルギーを糧に形づくられてゆく、奇怪な怪物たち。かれらは、どのような警告を伝えようとしたのだろうか。
目次
ゲスナー『怪物誌』
セバ『博物宝典』
ベルトゥーフ『少年絵本』
モロー『人間と動物の畸型原論』
辺景昭『百獣図』
『アメリカ・パルプ雑誌の宇宙怪物』
パレ『怪物について』
アルドロヴァンディ『怪物誌』
トプセル『四足獣の歴史』
ヨンストン『禽獣虫魚図譜』〔ほか〕
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
紅独歩
5
昔の博物誌に登場する荒唐無稽な「怪物」たちは、無知によるものではなく、先人達の尽きせぬ好奇心と科学的な思考によって記録されたものであった……。子供向けの「怪獣図鑑」の類に登場した名前もわからぬイキモノ達の出自を知る事が出来る。文庫でゲスナーの『怪物誌』を見ることが出来るなんて、なんと贅沢な!2009/11/26
二笑亭
4
怪物とは「異常」あるいは「例外」の別称。読むというよりは観る本で、貴重な図像が満載。宗教画、博物誌から始まり諷刺画にパルプ雑誌の挿絵と年代やジャンルも広範に亘る。様々な本にも引用されるゲスナー『怪物誌』の図像がたくさんで嬉しかった一方、トプセル『四足獣の歴史』の図像はもっと見たかったなと思う。モロー『人間と動物の畸型原論』はウェルズ『モロー博士の島』を思い出したが、著者も巻末の解説でやはり触れていた。2024/02/18
鵙屋
0
★★★☆☆ 最後にまとめて解説があったので、行ったり来たりで図が多い割には進まなかった印象。ネットのない時代の人間の想像力がとても面白かった。個人的にモロー『人間と動物の畸形原論』は興味深い!というか、自分は畸形に興味があるんだなと気づけた。エイのエイリアンはジェニー・ハニヴァーというそうです。かっこいい。2017/02/18
海野
0
正直ケイブンシャの怪獣百科的な感覚で楽しんだ。 レチフは『〜人間』ばっかりで安い特撮っぽかったり、グロテスク・アニマルズの貝とサンゴの怪物は成田亨の没デザインと言われても信じてしまいそう。 あとジェニー・ハニヴァーはエイの干物より猿頭の方がカッコいい。 2014/04/20
冬至楼均
0
貴重な図像が文庫で読める太っ腹な企画。2014/02/28
-
- 和書
- 黄金伝説 集英社文庫