出版社内容情報
心の琴線を揺さぶる「青春と読書と母と子」の記録。日本エッセイスト・クラブ賞受賞作。
「徐兄弟事件」で知られる元韓国政治犯徐勝・俊植兄弟の末弟がふりかえる、本を唯一の友にした幼きころから青春時代にかけての「読書遍歴」。心にひびく在日朝鮮人の自己形成史。母や兄たちとの暮らしの交流を縦糸に、さまざまな書物との出会いを横糸に時に甘く、そして時に苦く静かに語られるその言葉のひとつひとつは、民族の営みの悲しみと確かな重みをまざまざとうつして落ちてくる。「日本エッセイスト・クラブ賞受賞」。
内容説明
「徐兄弟事件」で知られる元韓国政治犯徐勝、俊植兄弟の末弟がふりかえる、本を唯一の友にした幼きころから青春時代にかけての「読書遍歴」。時に甘く、そして時に苦く…静かに語られるその言葉のひとつひとつは、確かな重みをもって迫ってくる。心にひびく在日朝鮮人の自己形成史。「日本エッセイスト・クラブ賞受賞」。
目次
ムリーリョの少年―まえがきにかえて
思春期の戸口にて―『寺田寅彦集』
子どもの涙(エリザベス・ルウィズ『揚子江の少年』;ニコライ・バイコフ『偉大なる王』;エーリッヒ・ケストナー『飛ぶ教室』)
豆を煮るに―吉川英治『三国志』
いやな奴―太宰治『思ひ出』
男について―『現代詩人全集』ほか
読めなかった本―トーマス・マン『魔の山』
希望とは―魯迅『故郷』
廃滅せんとする言葉(許南麒『朝鮮冬物語』;金素雲編訳『朝鮮詩集』)
橋をわがものにする思想―フランツ・ファノン『地に呪われたる者』
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ちゃよ
1
子どもの頃、これを読んでいれば良かった、、と思う。作者のおすすめの本を紹介している本なのですが、なにより読んでほしいのは、その時々の作者のエピソードなのだ。私なんかなんて浅く軽く能天気な子ども時代だったのだろう、と恥ずかしい気持ちにすらなる。せつないです。ただただせつないです。いい本です。この紹介されている良書を全て読みたい、寄り添いたいという気持ちになります。2017/08/03
り~さん。
1
好きな本。
Quijimna
0
ひとの本棚を覗き見る悦楽。 書の森には、その人の来歴があり、貪欲さと誇りがあり、「背伸び」があり、また恥部もある。 童話も、挑んだけれど征服できなかった山も、そして本のページを期せずして濡らした子どもの涙も、どれもが読む人の人格を形成してきた背骨であるとすれば、まさにヒトは本を読む生き物であるといえよう。 兄弟を政治犯として独裁政権に捉えられた、或る在日朝鮮人の読書ノート。 その苦難が、著者の生活に、精神に、そして読書に、たえず暗い影を落す。 書は誰のために読むのか。気負いと虚栄心をも動員しながら、難解2002/04/19