小学館文庫<br> 炎凍る―樋口一葉の恋

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小学館文庫
炎凍る―樋口一葉の恋

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  • サイズ 文庫判/ページ数 253p/高さ 15cm
  • 商品コード 9784094021141
  • NDC分類 910.268
  • Cコード C0195

出版社内容情報

 24歳で近代文学の名作を残して夭逝した天才作家・樋口一葉。恋も実らず、結婚もせず、貧困のうちに病に倒れたといわれてきたその生涯とは? 一葉の人生の奇跡を丹念に追いながら、明治という時代をしたたかに生きたひとりの女性としての一葉を描き出し、その創作の秘密に迫る。 人間が生きることの意味を問う、寂聴尼渾身の評伝。エッセイ「一葉の謎」「一葉の書」、対談「一葉の町を歩く」も掲載。

内容説明

『たけくらべ』『にごりえ』など、近代日本文学の金字塔ともいえる名作を残して二四歳で夭逝した、天才作家・樋口一葉。恋も実らず、結婚もせず、貧困のうちに病に倒れたといわれてきたその生涯は、どのようなものであったのか?本書は、一葉の人生の軌跡を丹念に追いながら、明治という時代をしたたかに生きたひとりの女性としての一葉を描き出し、その創作の秘密に迫る。一葉の生き様と才能に惚れ込み、人間が生きることの意味を問う、寂聴尼渾身の評伝―。エッセイ「一葉の謎」「一葉の書」、前田愛氏との対談「一葉の町を歩く」も併録。

目次

炎凍る―樋口一葉の恋
エッセイ1 一葉の謎
エッセイ2 一葉の書
対談 一葉の町を歩く(vs.前田愛)

著者等紹介

瀬戸内寂聴[セトウチジャクチョウ]
徳島市生まれ、東京女子大学卒業。瀬戸内晴美の名で幅広い創作活動を行う。73年に得度し、法名を寂聴として京都・嵯峨野に寂庵を結ぶ。97年、文化功労者ほか受賞多数
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。

みつき 

37
瀬戸内先生にかかるとこうも女性の業を深く抉られるものなのかと思わずうなる内容の評伝でした。一葉は当時認められていなかった女性の自立について向き合う大きな情熱を持ち合わせていながらも、女としての「性」までは捨てられず、かと言って本能の赴くままに激しい恋愛に突き進むことができるでもない。葛藤に生きた24年間のように思えました。プライドが高く、まだ若い一葉自身が作った淑女としての型に入りきらない内に秘められた炎を結晶化し、それが小説となって残されているようでした。2013/07/06

神在月

13
とても興味深かった。小説家の手にかかると評伝ってここまで面白くなるのか。巻末の日本文学研究者である前田愛氏との対談も刺激的。学者は内心そうだと思っていても資料が出てこないと言えない。小説家はそんな制約はないから、《状況証拠》だけで大胆に推測する。いわゆる行間を読むというやつだ。一葉は膨大な日記を残しているが、必ずしも日記に真実が書かれているとは限らない。省かれているものもあるだろうし、誰の手によってか破られていたりする箇所もある。小説家の日記は将来活字になることをどうしたって意識するということなのである。2022/10/29

kaoriction

13
また五千円札だ。先日、群よう子作品で抱いた樋口一葉に対する「そんなに悪い人生でもなかったのではないか」という思いに瀬戸内寂聴は応えてくれている気がした。「私は不幸ではない、哀れまないでほしい」という彼女の誇りにみちた声 、と。やはり、かなしいだけの人生ではなかったのだと。女としても人としても、案外、惹きつける力を持っていたと。負けず嫌いで思いつめたら突飛な行動に出るし、周りにいたら、友達にはなりたくないかもしれないけれど。巻末の前田愛氏とのエッセイが面白かった。一葉記念館に行ってみるかな。五千円札持って。2012/10/26

mawaji

9
塩田・和田両氏による一葉の伝記の決定版を踏まえつつも異論反論を唱えながら小説家の目線で書き綴られる寂聴版一葉論は、例のゴシップ的な内容も含めてとても説得力があって「そうなのかも知んないな」と頷きながら読みました。一葉が小説を書くきっかけになった田辺龍子の父親は日経夕刊連載中の「万波を翔る」の主人公田辺太一だったのにオドロキ。萩の舎の面々に桃水との仲がバレバレなのにそうとは気づかずに桃水のことを口にしまくる一葉はまさに恋する乙女状態だったのですね。明後日は126年前の雪の日、一葉が桃水の家へ訪ねて行った日。2018/02/02

S.hisako

4
明治29年に24歳で夭逝した一葉。寂聴の人生経験に裏打ちされた人間感情の機微を読み取る力と洞察力、その筆致によって一葉の秘密も丸裸か....説得力がある。欠落した日記の頁にも真実が浮かび上がる様だった。半井桃水を想う女心が、昔も今も大差なく痛いほどに生々しい。BS『書く女』二兎社 の黒木華主演の演劇を観て触発されて読んだのだけど、読んでから見たら更に面白かっただろうなと思った。2016/10/23

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