出版社内容情報
なぜ聖徳太子に「徳」という称号が贈られたのか?そこには日本人特有の怨霊信仰との関わりが秘められていた。そのメカニズムを初めて白日のもとにさらしたベストセラーの文庫版刊行。 なぜ聖徳太子には「徳」という称号が贈られたのか? 『日本書紀』は天武天皇の正体を隠すために編纂された! 奈良の大仏は怨霊鎮魂のためのハイテク装置だった?!… など、日本人の「徳」の思想と怨霊信仰のメカニズムを解明する衝撃の推理。「井沢元彦は歴史という大海をたった一人で渡る冒険者なのだ。日本の歴史は井沢元彦を得たことでいっそう面白くなった」(高橋克彦氏解説より)。意想外の視点が日本史の死角に光をあてて大好評! 解説・高橋克彦。
井沢 元彦[イザワ モトヒコ]
著・文・その他
内容説明
なぜ聖徳太子に「徳」という称号が贈られたのか?『日本書紀』は天武天皇の正体を隠すために編集された。奈良の大仏は怨霊鎮魂のためのハイテク装置だった…など日本人の「徳」の思想と怨霊信仰のメカニズムを解明する衝撃の推理。
目次
第1章 聖徳太子編―「徳」の諡号と怨霊信仰のメカニズム
第2章 天智天皇編―暗殺説を裏付ける朝鮮半島への軍事介入
第3章 天武天皇と持統女帝編―天皇家の血統と『日本書紀』の“作為”
第4章 平城京と奈良の大仏編―聖武天皇の後継者問題と大仏建立
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ヴェルナーの日記
234
本シリーズの第2作。聖徳太子編~平城京と奈良の大仏編までをカバー。著者・井沢氏が提唱する”怨霊信仰”は、別名”御霊信仰”ともいい、怨みを持って死んだり非業の死を遂げた人間の魂を「怨霊」と見なして畏怖し、これを鎮めて「御霊」とすることで、祟りを免れ平穏と繁栄を実現しようとする信仰。このような宗教観は多神教の宗教に見られる特有のものであり、「霊的存在への信仰」とし宗教的なるものの最小限の定義した”アニミズム”に通ずる。これらは善悪の二面性を持ち、絶対性の真理(善悪)を持つ唯一神を崇める宗教とは対極に位置する。2018/10/27
KAZOO
150
逆説の日本史の第2巻です。個々は古代では結構様々な解釈が出ているところで井沢さんの独特の解釈も楽しめました。聖徳太子、天智天皇、天武天皇、持統天皇、奈良の大仏といろいろ問題含みのところです。梅原さんの本を読んでいるので若干新鮮さは薄れるのですが、天武天皇のところは比較的興味を覚えました。三つの説があるのですが結局天智天皇の異母兄説をとっています。比較的ひとつの章が短いので読み物として飽きないで楽しめます。2016/03/10
Shoji
70
大学や研究機関の職員が聞いたら怒るだろうなという叙述が並んでいます。 例えば某大学の歴史科目の試験「面白本や小説などで読んだ知識を論じていると認められた場合、無条件に採点しません」と第一行めに書かれている。 この『逆説の日本史』もまた、大学の先生にしたら採点対象外なんだろな。 私は、この本では、奈良の大仏が造られた理由が興味深く読めました。 全く想像もつかなかったことが綴られていました。2017/01/06
金吾
36
かなり根拠が不確かな話ながら興味深い話です。井沢さんは研究者ではなく小説家なのでそれはそれでいいのかなと思いました。天智天皇、天武天皇と殷周の話は面白かったです。2025/04/08
James Hayashi
36
歴史学会では資料がないという一言で済まされてしまう著者の推測であるが、理路整然とし裏づけも書き文句のつけようがないような論理。今でも科学では説明できないモノは数多くあるが、古代では人智で測れない想像以上のものを恐れたことは間違いないであろう。副題の古代怨霊編とはまさしくこの事で、一巻の卑弥呼と日蝕の関係のように、注目に値する説だと思う。客観的にはわからないが興味の湧く新(真)日本史。2017/05/29