出版社内容情報
(安藤良雄)
先進の西欧諸国に遅れて帝国主義体制に参入した日本の、経済的発展は何にもまして急がれた。政府の商工業者保護、教育制度の整備などがあったが、中でも産業ブルジョワジーの活躍は目覚ましかった。岩崎弥太郎・渋沢栄一・古河市兵衛ら明治期日本の経済基盤をきずいた産業人から、戦前日本の飛躍を夢みた久原房之助・鮎川義介まで、殖産興業のにない手となった実業人の思想と行動を描く。
内容説明
江戸の豪商三井・住友、明治の政商三菱・安田らの素顔と実力を、日本資本主義の発達と共に描く。
目次
明治維新と日本のブルジョワジー(日本のブルジョワジー論をめぐって;外資排除と特権的政商の保護;自由主義と保護主義)
財閥をきずいた人々(政商;岩崎弥太郎と三菱;三菱創業期の功臣たち;岩崎弥太郎の教育事業と没後;江戸時代いらいの財閥―住友家;安田善次郎と安田財閥;古河市兵衛と古河財閥;大倉喜八郎と大倉財閥;浅野総一郎と浅野財閥)
豪商から財閥への道―三井(明治維新と三井;政商三井の成立;飛躍への足固め;政商からの脱皮;三井財閥の統轄機関)
日本資本主義 2人の指導者(五代友厚;渋沢栄一)
日本ブルジョワジーと教育(大学制度の発足;教育路線の多様化;高等教育と日本資本主義の要請;教育制度の再編成)
財閥の発展とブルジョワジーの地位の向上
(第一次護憲運動とブルジョワジーの地位の向上;ブルジョワジーと政党内閣;ワシントン体制と日本)
財閥体制の爛熟と転換(財閥の膨張;新興ブルジョワジーの興亡;ブルジョワジーの集結;既成財閥の爛熟;財閥の完成と転換)
三井財閥の完成(三井財閥の牙城;三井財閥の多角的発展;三井物産の伸長と蹉跌;ファシズムの嵐;財閥の転向)
新興コンツェルン(日産コンツェルンの形成;野口遵と日窒コンツェルン;森矗昶とそのコンツェルン;中野友礼と日曹コンツェルン;大河内正敏の「科学主義工業論」と理研コンツェルン;新興コンツェルンの性格と役割)
戦争とブルジョワジー(「財閥打倒」から「軍財抱合」へ;既成財閥の軍需工業進出;戦時下の財閥;日中戦争・太平洋戦争期における財閥;財界をめぐる「イデオロギー論争」)
財閥の実態(財閥と同族;持株会社の運営)
日本の資本主義とブルジョワジー(日本ブルジョワジーと官僚;ブルジョワジーの不死鳥性)