出版社内容情報
(大江志乃夫)
第1次大戦後の軍縮ムードが昭和恐慌によって大陸侵略方針に塗りかえられると、日本軍は謀略によって戦端を開き、統帥権干犯をふりかざして一路戦争への道を突き進む。自ら陸軍士官学校第60期生として敗戦を迎えた著者が、戦後世代にはなじみの薄い旧軍隊の機構・制度・用語・慣習をわかりやすく紹介しながら、昭和戦前最大の社会集団、天皇の軍隊の恐るべき実像を明らかにする。
内容説明
日本の国民を悲惨な戦争に巻きこんだ軍は、どのような組織を持ち、どのような思想を持っていたのであろうか?統帥権独立を旗印に、内閣や国民の戦争反対の動きを押しつぶし、張作霖の暗殺、柳条湖事件、二・二六事件、そして「支那事変」と、あいつぐ陰謀によって独裁体制をかためた。陸軍航空士官学校在学中に敗戦の日を迎えた著者が、自らの体験を手がかりに「帝国軍隊」から「皇軍」へと変貌する軍隊の実像に迫る。
目次
旧南満州鉄道の車中で―はじめに
天皇の軍隊の崩壊
国民皆兵の軍隊
軍隊、将校と下士官兵
軍事官僚と政治軍人
帝国国防方針と統帥権
昭和の軍閥
軍部主導の国策
軍備拡張と改変
戦争の泥沼
“皇軍”の自壊
天皇の軍隊と自衛隊―おわりに