内容説明
私はその階段を上ってあの男の「王国」へ踏み込んだ。当時27歳の引きこもり男が9歳の少女を9年2ヶ月にわたって部屋に監禁した前代未聞の猟奇事件。追跡3年、ノンフィクション界の新鋭が犯人の家で遂に突き止めた「真相」とは。小学館ノンフィクション大賞優秀賞受賞作。
目次
第1章 肖像
第2章 母
第3章 再会
第4章 幻
第5章 王国
第6章 家族
著者等紹介
窪田順生[クボタマサキ]
1974年生まれ。大学在学中から、テレビ番組制作会社の契約スタッフとして情報番組の制作に携わった後、『フライデー』にて3年間、取材記者として活動。本事件取材後、『フライデー』を離れ、月刊誌編集者、全国紙記者、風俗雑誌編集長を経て、現在ミリオン出版『ザ・ハードコアナックルズ』副編集長。またノンフィクション・ライターとして、『わしズム』ほか様々な媒体でも活躍中(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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nyaoko
76
子供を狙った事件の中でも、これは強烈な印象の残る物でした。当時、マスコミがこぞって報道してたけど、誘拐して監禁した犯人像の詳しい事はあまり知らされなかったように記憶してます。被害にあった少女が失った9年2ヶ月を取り戻す為、その後どんな思いで家族と必死に生きていこうとしたかを想像すると胸が苦しくなります。犯人の歪んだ心を作り出したのは間違いなく両親の間違った子育て環境だと思うのですが、恐らく二人共に自覚は無かったに違いないですね。犯罪ルポを読む度に、事件を起こす人の生育環境はとても大きいと感じます。2018/08/31
おさむ
45
当時は衝撃的だった前例のない長期監禁事件。犯人の「家庭」を徹底的に調べることで、犯行の動機に迫っている。30近く年の離れていた父母。溺愛され、大人になりきれなかったという結論。最後の動機付けはややこじつけな印象もするが、粘り強い取材姿勢は買いたい。小学館ノンフィクション大賞優秀賞。2016/06/08
ケイ
32
元フライデーのカメラマンの著作。新潟の少女監禁事件の取材を進めるうちに、感傷にとらわれ仕事をかわったあとも、判決が確定した後から個人的に再び取材したもの。 カメラマンだからか、文章はまとまりにかけるが、その分、彼の思考の変化がよくわかる。犯罪者を生み出した両親は決して異常ではなかったが、強い心で子供と対峙することをさけたのだろう。何より、被害者の少女の心を思うとやるせない。犯人はもう出所している頃だ。何をしているのだろう。2013/09/23
carl
22
良くも悪くもフライデーぽかった(悪い方が多いかな)昔は電車でフライデーの中吊り広告を良く見たが最近見ないけど廃刊? 2020/12/04
くるぶしふくらはぎ
21
元「フライデー」の記者さんだけに、内容がスルスルと頭に入ってくる。けれども、大きな壁のごとくそびえる「14階段」を、理解することはできませんでした。作者が書けなかった、明かせなかったことに、真実が隠されているのかも…と、感じました。2016/03/21