男であれず、女になれない

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男であれず、女になれない

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  • サイズ B6判/ページ数 192p/高さ 19cm
  • 商品コード 9784093885492
  • NDC分類 916
  • Cコード C0095

出版社内容情報

小学館ノンフィクション大賞紛糾の問題作!

2015年3月9日、当時36才。私は、男性器を摘出した。

「女になった」と言わない理由は、この選択が女性になるためじゃなく、自分になるためのものだったから。だから私は、豊胸も造膣もしないことを選んだ。

「性同一性障害」という言葉が浸透して、「性はグラデーション。この世は単純に男と女には分けられない」と多くの人が理解する時代にはなったかもしれない。けれども私は自分の性別を、男にも、女にも、二つのグラデーションの中にも見つけることができなかった。

男であれず、女になれない。

セクシャリティが原因でイジメにあったことはない。事実はその逆でみんな優しかった。でも、男子クラスになったことを機会に私は高校を中退した。
女性を愛する男性に命がけの恋をして、葛藤し、苦悩して、半死半生の状態に陥ったこともあった。ひたすらに自己否定を繰り返したりもしたけれど、周囲の誰もが私を一生懸命に支えてくれた。
そして社会人である今、多くの人が愛情と親しみを込めて私を「しんぺいちゃん」と呼ぶ。

これは、人生に同性も異性も見つけることができなかった一人の人間が、自らの“性”を探し続ける、ある種の冒険記です。


【編集担当からのおすすめ情報】
第23回小学館ノンフィクション大賞に、まさかの「自分自身を取材したノンフィクション」が送られてきました。

選考会では、「これはノンフィクションといえるのか」「第三者への取材を行なうべきではないか」など、さまざまな意見がでましたが、選考委員の感想に共通したのはただひとつ。

「それでも、この作品は面白い」

小学館ノンフィクション大賞を紛糾させた異例の”自伝的ノンフィクション”は、「性自認」だけが話題の中心ではありません。
どうしてもその道を選ばざるをえない、多くの「マイノリティ」の心の支えとなるはずです。

序章 惰性で生きるには、長すぎる
第一章 無邪気か無垢か、はたまた無知か
第二章 感情の氾濫は、現状への反乱だったのかもしれない
第三章 自覚からの向上心は、試行錯誤と名乗る迷走なのだろうか
第四章 解決策のない事象に対する、決着の理論
第五章 存在の確認は、過去と未来の在り方を証明する
第六章 それでも、ハッピー量産体制

鈴木 信平[スズキ シンペイ]

内容説明

あの日、私は「男」であることを放棄した。小学館ノンフィクション大賞選考会を紛糾させた問題作。

目次

序章 惰性で生きるには、長すぎる
第1章 無邪気か無垢か、はたまた無知か
第2章 感情の氾濫は、現状への反乱だったのかもしれない
第3章 自覚からの向上心は、試行錯誤と名乗る迷走なのだろうか
第4章 解決策のない事象に対する、決着の理論
第5章 存在の確認は、過去と未来の在り方を証明する
第6章 それでも、ハッピー量産体制

著者等紹介

鈴木信平[スズキシンペイ]
1978年4月24日、愛知県生まれ。会社員。2002年に立正大学社会福祉学部卒業後、俳優養成所レッスン生、広告代理店、コールセンター勤務などを経て、現在、株式会社ブックリスタ勤務。高校在学中の17才頃から自身の性別に疑問を覚え、大学卒業後、23才を迎える頃には性の不一致を自覚。同性愛、性同一性障害など、既存のセクシャルマイノリティへ自らの居場所を求めるも適応には至らなかった。ホルモン摂取、豊胸、造膣などいずれの女性化も求めることなく、2015年3月、36才で男性器を摘出する(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

わん子

22
トランスジェンダーフェミニズムと併読。この方がフェミニズムと出会っていれば、そんなに苦しむこともなかったのでないのか、と思わずにいられないほど、マジョリティ社会に押しつぶされ、苦しそうな思いが伝わる。生まれが男性だとフェミニズムは届きにくいのかも... 大学時代の恋の話は力強くピュアで、私もこんな恋したなあ、と共感。同性愛の恋愛感情は周囲の強制のない、自分の力で見つけた生きる原動力だから、ヘテロのそれよりかなり純度が高く麻薬的かも。フェミが届いて欲しかったけど、自分の弱さを自分の力で考え抜く強さも感じた。2021/02/11

白義

17
Xジェンダー。男でもなく、女でもない、どちらにも違和を覚えるゆえに選択した性別。本書はそんな決断をした著者の、決断に伴う手術の予後や、それに至る人生を平易に綴った一冊だ。女は女に生まれるのではなく、女になるのだ、という言葉があるが、男か女に「なれる」なら楽なことはない。どちらにもなれない……いや、セクシャルマイノリティという大雑把なポジションにすら安住できないからこそ「私」を選び取る他なかった著者の、その決断全てと、それにつきまとう生涯の悲喜こもごもを真正面から受け止めるストレートな筆致が好感を持てる一冊2018/06/20

4fdo4

16
自己の性の不一致の話なのだが、行きつく所は性別適合手術や戸籍の性別変更ではない。 男である生きづらさはあっても、女になる気のない著者の選択は私の想像を超えたものでした。 性別は2種類しかないという、その常識に当てはまらない時、人は苦しみもだえる。 2019/12/31

ゆりこ

10
ウェブで鈴木さんのことを知り、購入。ジェンダーの「揺れ」がある生徒に接する機会が多いから、勉強しないと。読んでいくうちにどうしても、手術前後の描写が痛々しく、ちょっと手が止まった 。これからの鈴木さんを応援したい。2017/07/29

みつ@---暗転。

10
**** LGBTQ云々に無理やり分類するなら、Qに属するXジェンダーな著者のとある決断。現段階では曖昧な自認を持つ僕の個人的な悩みとも共通する部分があって苦しい部分も多かった。僕もある程度は幸せで、ある言葉に勇気づけられながらも確固として孤独にもなっているのかもしれない。心と体の同一性の欠如は、どれほどの苦痛か。しかし同時に、信平さんは幸せ者だな、と。家族にも友人にも恵まれている。自身の矜持を明確に持ち、尚且つ貫くのは紛れもない強さ。まだまだ認知が充分でないXとして生きる一人の先達に、敬意を表したい。2017/05/03

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