出版社内容情報
ジャズピアニストの自伝・アメリカ修行編。
2008年5月に小学館から刊行され好評を博した、ジャズピアニスト南博の自伝的エッセイ『白鍵と黒鍵の間に』の続編。銀座高級クラブのピアニストを辞め、アメリカのバークリー音楽大学へ留学した南青年は、現地でさまざまなトラブルに巻き込まれつつ、ジャズ三昧の日々を送る。言葉の障害、人種的なトラブル、抱腹絶倒の失敗談、すばらしい先達や仲間たちとの出会い、情熱的な恋愛…。福田和也、井上章一、縄田一男、坪内祐三などの読み巧者たちに絶賛を浴びた「ミナミ節」がますます冴えわたる。爆笑と感傷と内省と希望に満ちた、感動的なビルドゥングスロマン。
内容説明
銀座で稼いだ金を首からぶら下げて、青年は「ジャズ・カントリー」に旅立った。言葉、文化、食べ物、差別。タフでハードなアメリカの日々。そして、すばらしい仲間との出会いと情熱的な恋。内省と感傷と爆笑と希望に満ちた、ジャズ青年のビルドゥングス・ロマン。
著者等紹介
南博[ミナミヒロシ]
ジャズ・ピアニスト。1960年5月15日、東京生まれ。東京音楽大学、米国バークリー音楽大学卒業。現在「南博トリオ」「Go There!」を主宰(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
tom
20
以下、引用。「スティーブの演奏が盛り上がるにつれ、眼球の光彩に乱反射して、まるで自然に視覚がカレイドスコープになってしまった。その乱反射は、平衡感覚まで奪い始め、気が付いたら僕は生み出す音の世界の中で、大声を出して笑っていた。音楽にこんなパワーがあるなんて、世の中にこんな喜びがあったなんて。音の群れが、力強く、繊細にピアノの弦を鳴らし切り、彼のタッチによって、音に色彩があるかの如く、瞬間瞬間放たれる。その音の元にある物、確固とした威厳であり、その上で遊ぶファンタジーの群れだった」。この音の描写すごい。2024/01/11
北風
8
ジャズ・ピアニストの話しだけど、もうちょっとジャズについて書かれてたらよかったのに。ブルージャイアントのように。トンデモな相方の車でアブナイドライブ、ポーランドの彼女とか、セッションの数々、そういうのは面白い。二十代後半で一念発起、海外の大学に留学するなんてすごいなあ。銀座でいろいろもまれてはいても、周囲のアメリカ人はみんなもっと若かったに違いないし。実力があっても運がないと、というのはいわれるもの。従兄がアメリカで副社長だったり、グリーンカードが当たったり。このあと、どうなったんだろう? パリ編?2023/11/07
tom
5
この本は面白いです。現時点(2014年11月21日)で登録数61というのは、とても残念。銀座でピアノを弾いていた南青年が、アメリカのジャズのメッカ、バークレー音楽院に留学。そこで出会った音楽狂いたちとの交流を書いた本。それにしても、音楽狂いという人たちは、ここまで音楽に熱中できるのかと、その凄さを感じてしまった。加えて、それだけの狂おしさを自分の体に引き受けるだけのものが音楽にはあるのかと、61歳の私は思った次第。少しだけ残念だったのは、書中から南さんの音が響いてこなかったこと。仕方ないなCDを買おうか。2014/11/20
yo27529
1
「白鍵と黒鍵の間に」の続編。僕的には銀座時代のヤクザなエピソードより、この続編のほうがずーっと面白かった。やはり経験の質の違い。アメリカという異文化の中での悪戦苦闘や音楽探求のエピソードが興味ぶかかった。アメリカという異文化の奥の深さ(不気味さも多民族社会のありようも)が実体験をストレートに表現されていて、いわゆる通り一遍の留学記とはレベルがちがいますね。冒頭、イエローキャブに乗ったのにやばい地区に放り出されるところから、日本の安全社会のぬるま湯にどっぷり首までつかっている僕には新鮮な驚きでした。2014/02/19
DZ015
0
ジャズピアニスト南博氏の自伝銀座編に続くアメリカ編。銀座編も面白すぎたがこちらも読むのを止められない。ピアノも凄いが描写力も半端じゃなく一緒に旅している気分さえ味わえる。世界中の凄腕ミュージシャンと日々セッションしたり危険地域にもずかずか踏み込んでいったり尊敬するピアニストに力尽くでピアノ習ったりと無茶な行動力に感服。が、一番衝撃的だったのは「バークリーのプラクティスルームにあるほとんどのピアノの調律が狂っている」という一文。まじか。(現在はわかりません)2016/01/26
-
- 和書
- The wall