• ポイントキャンペーン

蜜のあわれ

  • ただいまウェブストアではご注文を受け付けておりません。
  • サイズ A5判/ページ数 158p/高さ 21cm
  • 商品コード 9784093877275
  • NDC分類 913.6
  • Cコード C0093

出版社内容情報

幻想的な写真が彩る室生犀星の耽美的な名作。
金魚と少女の間を自在に往還するコケティッシュな「あたい」と、老作家「おじさま」の奇妙な交流。そして、そこにひそやかに訪れる「ゆうれい」の女性の影。室生犀星が晩年に発表したこの小説は、男女の情の切なさ、性欲や愛情のかなしさを、シュールな設定で耽美的に描いた作品です。なかやまあきこ撮影による金魚・花・少女の写真との美しきコラボレーションで、犀星の傑作がいっそう鮮やかに蘇ります。

内容説明

金魚と少女の間を往還する「あたい」と、老作家「おじさま」の不思議な交流。室生犀星晩年の傑作が、耽美的な写真とのコラボレーションで蘇る。

著者等紹介

室生犀星[ムロウサイセイ]
作家、詩人。1889‐1962。金沢出身

なかやまあきこ[ナカヤマアキコ]
写真家・編集者。金魚、和服、祭、花、和菓子など、和情緒・江戸趣味をテーマとする写真を主に撮影している(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

あつひめ

84
この作品が書かれた時代に、こんなにテンポのよい作品は好まれただろうか?と心配になってしまった。金魚と老人の会話は、今読んでも作品を楽しめる。時に金魚の言葉がやり手ババアのようであったり、少女の初々しさを見せたり。写真が金魚のヌルヌルするウロコ模様や尾の揺れを大写しで見せるから、自分は間違って金魚の世界に入り込んだのか?と思ってしまうこともあった。今回、映画にもなるとか。映像を通して原作の妖艶な世界も見られるとよいなぁ。2015/07/21

いたろう

53
老作家と若い娘の姿になった金魚。映画を観て、室生犀星って、こんなシュールな作品も書いていたのかと気になって読んでみた。映画では、二階堂ふみ扮する金魚の赤子が、快活かつコケテッシュな魅力を振り撒いていたが、原作では映画ほどの艶かしさはなく、作家の妄想が全開して、金魚に若い女の姿を見てしまう官能的な話なのだろうという勝手な想像とは違って、ただただ飄々として明るい。一方で、原作の女性の姿なのか金魚の姿なのか判然としない描写は、映画とはまた異なった文学的な眩惑感に満ちていて、非常に魅惑的。2016/04/09

yn1951jp

46
この世にいない犀星の恋人「あたい」が、南伽山アキコの写真によって現出する…尾のところにお触りになってもいいわ、くすぐったくないように、そよろそよろとお触りになるのよ。おじさま、尾にのめのめのものがあるでしょう、あれをお舐めになると…とてもおいしいわよ...あたいね、昨日ふいに(海をわたる一尾の金魚)と、書いてみたのよ。とても大きい海のうえに金魚が一尾、反りかえって燃えながら渡ってゆく景色なのよ…金魚はおさかなの中でも、何時も燃えているようなおさかななのよ。からだの中まで真紅なのよ…2015/10/13

zirou1984

45
赤、それは体内を巡る血液の色、欲望を掻き立て混じり合う焔の色。金魚であり少女でもある「あたい」と古希を過ぎた主人公との会話は欲望が滲み出ているはずなのにどこか朧げで幽玄で、いつしか亡き人までもが引き寄せられていく。金魚との接吻は空と水の匂いが溶け合うみずみずしいものなのに、生身の女性とは出会うことさえ叶わない。それはなかやまあきこさんによる美しい写真の数々にも反映されており、カラフルで色鮮やかに写された花々や金魚たちに対して、生身の女性は過去の記憶から呼び起されたようにモノクロームな形で存在しているのだ。2015/04/18

mai

39
映画の予告で見て気になり図書館にて借りてみました。おじさまと金魚のやりとりがかわいらしい。2016/05/30

外部のウェブサイトに移動します

よろしければ下記URLをクリックしてください。

https://bookmeter.com/books/468427
  • ご注意事項

最近チェックした商品