出版社内容情報
鉄を削るように書いてみたかった。
長い年月旋盤に向かい合っていると、つくづく鉄は生きものなんだと思う。鉄が匂う、鉄が泣く、鉄が歓ぶ。職人はそれら、鉄の声に動かされる。 自ら練達の旋盤工として鉄を削り続けた著者が、旋盤の唸りと油塵とキリコ(切り屑)の舞う中に見た人生模様。「天井の車輪」「淘げ屋」「ことば」「ばっけの客」「新参者」「二度咲き」など、職人たちの命の道具「手」をキーワードに展開する、町工場の変遷と職人たちの哀歓を描く六つの短編集。
内容説明
職人のいのちの道具、「手」をキーワードに職人の粋と哀歓を描く町工場小説の佳篇。
著者等紹介
小関智弘[コセキトモヒロ]
1933年、東京生まれ。都立大学付属工業高校卒。旋盤工として町工場で働きながら、執筆活動を続ける。『大森界隈職人往来』(朝日新聞社)で第八回日本ノンフィクション賞受賞
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
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サキ
1
鷺沢萠さんが影響を受けただか、絶賛していただったか・・・積んでいた期間が長すぎて、入手した理由が思い出せない。旋盤工でもある作家さんで、町工場の描写が詳しく描かれているので、もう数十年したら資料的価値も出てきそうです。下町の町工場に興味がある方は、楽しめると思います。2018/04/13
うさ子
1
(読みかけ)大変興味深い。2013/12/21
イリエ
1
ラジオ文芸館にて「ことば」を聴了。2013/04/10
イリエ
0
一年後に再聴了。うーん、微妙。2014/04/24
Hisashi Tokunaga
0
「大田文学ってどう」;町工場短編小説集となっており、小関文学の濃縮版という趣でした。「ぼっけの客」に道玄坂や権之助坂に現れた”マッチ売りの少女”が蒲田の女塚にも現れたとする会話のシーンがある。本当かなぁ~。「二度咲き」これこそ小関大田町工場文学の精華かもしれない。同作品に漁師だった祖父が「東京に行ってくる・・・」という台詞を受けて北陸の主人公が東京になりたくない東京人がいることを知るシーンがいいね。2014/03/12