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出版社内容情報
障害とはいったい何なのか。人間性とは何なのか。障害者と接しながら活動を続ける著者が語る心に響く一冊。
「あったかさん」は、知的障害者という呼び方に、長年疑問を抱いていた著者の造語です。 知的障害者の福祉施設で音楽ボランティアを続け、彼らとの接触が長くなるにつれ、著者は、社会にとってさし障りや害があるのは、むしろ健常者と呼ばれる我々の方ではないかと気づいて愕然とします。新聞の三面記事にしろ、TVのワイドショーにしろ、健やかで常識をわきまえた人たちが、病的な日常を送り、社会に害をあたえる事件を繰り返し起こしています。まともな神経を持ちあわせているのは、いったいどちらなのでしょうか。健常のマスクをかぶったアブナイ人たちが堂々と街を闊歩し、障害者のマスクをかぶらされた穏やかな人たちが、施設に入って社会から隔離された生活を送っているのです。 知的障害者から「あったかさん」へ目を移すと、さまざまに歪んだ現代社会の突破口が見えてきます。スーパーのラッピングされたキュウリやナスのように、ふぞろいな野菜を脇に押しやった社会が、その結果抱えこんだ居心地の悪さを、「あったかさん」が癒してくれる気がするのです。 この本を読むと、心があたたかくなるのです。
内容説明
「あったかさん」が私たちを変えていく。あなたがいると、心がなごむのはなぜ!?第一回報知ドキュメント大賞受賞作。
目次
裏門のあーちゃん―まえがきにかえて…
ドキュメント『サルサ・ガムテープ』
章仁くんの二十一番目
「兄はね…」と彼女はストックホルムで言った
穏やかなバクハツ
その五秒が待てない
「あったかさん」ばんざい!―あとがきにかえて…