出版社内容情報
日本古来の『物語』を、現代の「物語」として読み解き、古典の面白さ、現代を生きる様ざまな知恵を発見。『物語』の読み手12人と語り明かす。主な対談者=田辺聖子、今江祥智、大庭みな子、瀬戸内寂聴、他。
子供のころから「お話を読むことも、聴くことも、それを語ることも好きだった」著者は、親兄弟をはじめ、友人仲間たちと、つねに語り合うことで多くのことを学んだという。この「お話好き」こそが、今日の心理療法家・河合隼雄の原点である。 三〇代半ば、スイスのユング研究所に学んだ著者は、ここでふたたび「お話」に出会うことになる。心理療法家においては、人間と人間の関係を重視する。この関係の根幹をなすものが「物語」であり、人は自分自身の「物語」をつくりあげていくなかで、自己のアイデンティティーを確立し、やがて癒されていく。 人間は本来、物語が好きである。物語を読み、感動することで、語り手と聴き手の間に関係が生まれ、そこから真実が伝わっていった。物語はこうして生まれ、それを共有する人々によって、われわれの物語として存在していたのではないか。ところが、近代になって、物語は荒唐無稽なものとして忘れ去られてしまった。現代人は科学の知こそ唯一の真理だと思いがちである。そこで、関係を切断された現代人は、多くの苦悩を背負ったまま「たましい」を見失い立ち往生している。この「たましい」を回復し、いかに自分の物語をつくりあげるか。その知恵が物語
目次
古事記―神々と人間の壮大なロマン(田辺聖子)
御伽草子―開放的な時代の息吹き(今江祥智)
有明けの別れ―両性具有の美とエロス(中村真一郎)
平中物語―当世サラリーマンの処世訓(古橋信孝)
宇津保物語―作り物語のダイナミズム(高橋亨)
雨月物語―生と死の夢幻境(大庭みな子)
源氏物語―紫式部の女人マンダラ(A・ガッテン)
源氏物語―愛と苦悩の果ての出家物語(瀬戸内寂聴)
今昔物語―民衆を癒す処方箋(W・ラフルーア)
今昔物語―現世は前世の報いの巻(佐竹昭広)
浜松中納言物語―夢と転生のファンタジー(永井和子)
松浦宮物語―歌人・定家の夢想譚(池田利夫)
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Gotoran
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