出版社内容情報
「この作品は、第三舞台の辿って来た道へのオマージュです。」(鴻上尚史) 劇団「空飛ぶクジラ」が、かつて公演中止になった戯曲を巡って物語は始まる。劇団という集団を通して人間関係の複雑さを描く意欲作。
「この作品は、第三舞台の辿って来た道へのオマージュです。『第一期』『第二期』を経てここに今、奇蹟的に存在している第三舞台の過去へのオマージュです。そして、それは集団の中で、人間関係で苦しみ、人間関係に喜びを見い出す一人一人へのオマージュになると思っているのです。」こう作者・鴻上尚史は語っている。 1981年に旗揚げした「第三舞台」の最初の5年間は、劇団員の結束と試行錯誤の連続、これを「第一期」とすれば、「第二期」は、劇団員が他の芝居やテレビに出ることを願った時期です。「客演して勝った役者は、偉そうに第三舞台に凱旋し、失敗した役者は、傷つきながら戻ります」そう、「第二期」の劇団は航空母艦の役割の時代です。そして、「第三期」がこの戯曲の舞台です。 ??上演中止となった戯曲「リレイヤー」を劇団「空飛ぶクジラ」の女優・峰島つぐみが見つけ、同じ劇団員・富樫篠明と読み合わせをする場面から幕が上がります。 もちろん、この作品は、第三舞台の内幕ものではありません。集団の中での人間関係を劇団という姿を通して描いた意欲作です。
内容説明
演出家・鴻上尚史による『演出ノート』付き戯曲。
目次
ごあいさつ
リレイヤー3
あとがきにかえて
上演記録
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
西
32
DVDを観たので戯曲を再読。鴻上さんの作品を観ていて良く思うことは、悲しさと笑いの量の配分が素晴らしいこと。だから心に深く響いて、でも深刻になりすぎない。劇団の中の人間関係の濃密さ、膨れ上がる夢と押し迫る現実、悲しい話ではあるけど、劇団というものに所属している(していた)人達が羨ましいとも思った。2017/05/03
かか
3
第三舞台の 鴻上さんの戯曲 題名の由来は リレーをする人 ということだが 一部 二部 と 進化しながら進んでいる 下部に 鴻上さんの脚注があり それによって より一層 読み取り易くなっている 稽古風景を主体に描いているが 中にエチュードを入れていたのに驚く 鴻上さんの 「あとがきにかえて」にも 読み応えがあった2015/07/12
aizum
2
芝居を観ただけでは理解出来なかった部分が、演出ノートを読んでおぼろげに理解出来た。『自分の絶望で他人を傷つけないように、微笑もう』。カバーと見返しが繋がってる装丁がかっこいい。2012/01/03
おか
1
2015.7/12読了。第三舞台の鴻上さんの戯曲。題名の由来はリレーをする人ということだが 一部二部と進化しながら進んでいる。下部に 鴻上さんの脚注があり それによって より一層読み取りやすくなっている。稽古風景を主体に描いているが 間にエチュードを入れていたのに驚く。鴻上さんの「あとがきにかえて」も 読み応えがあった。
🕊️
0
擦り切れるほど読んだ。 劇団というのは幻を共有する共同体だ。見えないものを一緒に見ようとする人々が、散り散りになっていくことはかなしいことじゃない。ある一定の期間だけでも、何より一つのものをつくりあげることができたなら、それはほんの一瞬でも永遠になり得ると、私は信じてる。 私も誰かのハンカチになれただろうか。2008/02/03