出版社内容情報
この物語の主人公は沖縄である
沖縄からの風が「真」をはこんでくれる――
戦後、日本は二つの国に分断されていた。
本土から切り離され、米軍支配下に取り残された沖縄は「独立」に向けた闘いを開始する。
遠く離れた故郷沖縄に思いを馳せる詩人・山之口貘、“アメリカが最も恐れた男”不屈の政治家・瀬長亀次郎、戦後の東京で私費を投じて米軍支配が続く沖縄との連帯を模索する中野好夫……。
実在の人物たちの視点を通し、本土復帰までの「時代」と「闘い」を描く傑作歴史長編!
『ジョーカー・ゲーム』シリーズで知られるベストセラー作家が挑む「沖縄が主人公」の物語。
内容説明
戦後、日本は二つの国に分断されていた。本土から切り離され、米軍支配下に取り残された沖縄は「独立」に向けた闘いを開始した。故郷沖縄に東京から思いを馳せる詩人・山之口貘、“アメリカが最も恐れた男”不屈の政治家・瀬長亀次郎、「沖縄資料センター」を立ち上げ沖縄との連帯を模索する中野好夫…。実在の人物たちの視点を通し、本土復帰までの「時代」と「闘い」を描く傑作長編!この物語の主人公は沖縄である。
著者等紹介
柳広司[ヤナギコウジ]
1967年生まれ。2001年『贋作「坊っちゃん」殺人事件』で朝日新人文学賞受賞。2009年『ジョーカー・ゲーム』で吉川英治文学新人賞と日本推理作家協会賞長編及び連作短編集部門を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
starbro
166
柳 広司は、新作をコンスタントに読んでいる作家です。 実在の人物たちの視点を通して描いた戦後沖縄の黒歴史、著者が今このタイミングにこのテーマで本書を書いたのかは疑問です。 https://www.shogakukan.co.jp/books/093866742023/04/10
trazom
122
瀬長亀次郎さん、中野好夫さん、山之口貘さんを通して戦後の沖縄の歩みが描かれる。これほどの酷い仕打ちに晒されてきた沖縄の人たちの気持ちを、果して自分はどれだけ理解していたのかという思いに囚われる。沖縄を切り捨てて主権を回復した日本。沖縄を統治した米軍民政府の余りにも非人道的な暴政。見て見ぬふりをする日本政府の冷たさ。沖縄県民の思いを一顧だにせず強行採決された復帰法案。沖縄の人たちを騙し、虐げ続けた歴史を前にして、「これが本土の民主主義なのか!」と叫ぶ県民の声が胸に刺さる。深く重く心に残るいい本だと思う。2023/05/20
のぶ
97
本の帯に“実在の人物たちの視点を通し、本土復帰までの「時代」と「闘い」を描く傑作長編“とあり、その通りだと思うがこれは小説でなくノンフィクションですね。全編を通し瀬長亀次郎という政治家を話の軸に据え、戦後から復帰までの事実を綴っていく形態をとっている。真藤順丈さんの「宝島」のような小説を期待した自分には肩透かしを食った気持ちもあるが、内容的にはとても充実したものだった。米軍の支配下におかれた沖縄の人々が、いかに理不尽な仕打ちを受け、苦しんだかが非常に伝わってきた。沖縄を知る上で一読の価値はあると思う。2023/03/23
雅
55
沖縄を巡る重たいイメージ作品。今の姿に辿り着くまでの歴史2023/05/31
ヘラジカ
47
出版社の紹介では「小説」とされているが、実在の政治家と詩人の生涯を詳細かつ淡々と追っているため、読んでいる限りではどこからどこまでがフィクションなのか分からない。所謂「ノンフィクション小説」というものだろうか。沖縄の知られざる、というよりも本土の人間が積極的に知ろうとしてこなかった戦いの歴史が、整然と簡明に描かれている。意想外にも全く娯楽性はない作品だったのであまり話題にはなりづらいかもしれない。しかし、この本が広く読まれ、今なお続いている基地問題に向けられる眼差しが少しでも変われば良いと思う。2023/03/07