出版社内容情報
太宰治賞作家が描く大人の恋の群像劇
人生の経験を積んだ大人でも、恋愛だけは不器用なまま。太宰治賞受賞後第1作、錦見映理子が大人の恋と人生を鮮やかに紡ぎ出す。
不倫の恋に破れ、勤めていた会社を辞めた万里絵。知らない町で、夢だった喫茶店を開き、ここで穏やかに暮らしていこうと決心する。そんな矢先、店に奇妙な男が現れる。その男・虎之介は、商店街の一角にできたパン屋で働くパン職人。仕事においては高い技術を誇り、実直な職人気質な男だが、こと女に関してはだらしないことこの上なく、町の女達が翻弄される。
そんなある日、自由奔放な虎之介に振り回されてきた女達に厳しい現実がつきつけられる。
その後、女達に予想外の結末が訪れる。
Apple Books限定先行配信・有料小説ランキング1位を獲得した小説、待望の書籍化。
内容説明
「どいつもこいつも、最悪」ある喫茶店に、一人の奇妙な男がやってくる。その日から、女たちの人生がとんでもないことに…!太宰治賞受賞作家が描く、大人の恋愛群像劇。
著者等紹介
錦見映理子[ニシキミエリコ]
東京都出身。小説家・歌人。『リトルガールズ』で第34回太宰治賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
モルク
145
パン屋の店主であり職人の虎之介。こだわりのとびっきりのパンを作る腕は確かだが、こと女に関してはダメンズ本人にその気はなくとも根っからの女たらし。週一で帰る別居中の随分年上の妻を持ちながら、今までも女のことで転居を繰り返す。夫を亡くしている早苗はこの男にのめりこみ狂気の世界に転じ、社内不倫の末会社をやめ自分の店を持つ万里絵もいけないと思いながら彼に惹かれていく。それにしても妻伊都子の太っ腹のことよ。パンと恋愛の発酵をかけていることはおもしろい。私は虎之助のどこがいいのかわからないけど…2022/11/01
machi☺︎︎゛
136
タイトルが最高にエモくて手にとった1冊。発酵と腐敗の紙一重なところを恋愛に置き換え1人のパン職人の男を取り巻く女たちの様子が描かれている。またこの男がクセが強い!ガツガツしていないけど母性本能をくすぐるタイプで多分1度でも関わると放っておけないし、ひどい扱いを受けても許してしまう。だけどパンを焼く事には一流の腕を持っている。そんな彼の意外な一面も魅力の1つになっている。面白かった!2022/07/18
fwhd8325
121
ちょっと理屈っぽいタイトルですが、物語を読み終えて、このタイトルが素晴らしいことを感じます。パン作りを恋愛に喩えるなんて、素晴らしいです。食はエロティックでもあることなのですね。男子にはよくわからないのだけど、同じ男を経験した女性は、どんな心理状態なのだろうか。この終わり方は成立するのでしょうか。2023/09/27
ベイマックス
113
題がいいよね。『発酵』と『腐敗』、なるほどね。◎人目も気になる、噂も気になる、後々を考えると委縮してしまう、いい人を演じてしまう。うまく吹っ切れたり、覚悟が決まったり、諦められて、穏やかな人生になると素敵だよね。ただの我がままだったり、威嚇したり、正義を振りかざしたりではなくが大切。2022/06/27
ゆみねこ
99
とある商店街、不倫に疲れ会社をやめてカフェを開いた万里絵、夫を亡くしてスーパーのレジ打ちをしている早苗、女癖の悪いパン職人の虎之介と歳上の妻でスナックのママ・伊都子。ひとりの男と3人の恋愛模様だが、ドロドロの様相を呈しているのにどことなく可笑しくて、男女の仲とパンの発酵を比喩したりで面白かった。錦見さん、2作目だけどちょっと追いかけたい作家さん。2023/03/18
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