出版社内容情報
詩人と絵本作家による唯一の合作小説復活!
元版は1995年に刊行されたが、二人の離婚によってあっという間に絶版、幻の作品になっていた。「釘」「安心してここにいる」「トンチャンノオハカ」の三短篇を収め、巻頭に谷川の詩「夏が来た」を収録。新たに谷川による〈あとがきエッセー〉を付して、新装版として刊行。
巻頭の「釘」は、北軽井沢を舞台にしたひと夏の物語――少女の日記を佐野が、避暑地に滞在する初老の学者の日記を谷川が、二つの日記体小説が交互に描かれる。作品中にカラーの挿絵(佐野の作品)を7点収録。次の「安心してここにいる」は、少女と母親(父はいない)の章を佐野が、自殺志願の男の章は谷川が担当(カラーの挿絵2点、モノクロを3点収録)。最後の「トンチャンノオハカ」は、娘と二人暮しの母の視点で佐野が、時空を超えた死者の視点で谷川が描く(モノクロの挿絵5点収録)。
二人による合作小説はこの一作だけである。奔放な佐野作品と知的な谷川作品が協奏する珠玉の傑作に、美しい挿絵を織り込んだ、宝物のような作品集。
谷川 俊太郎[タニカワ シュンタロウ]
著・文・その他
佐野 洋子[サノ ヨウコ]
著・文・その他
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
けんとまん1007
37
一度だけでは、腑に落ちない奥行きを感じた。子どもの目線のものがたりのほうが、わかりやすい。その光景、肌感覚が感じられる。しかし、このお二人ならではの世界。2018/10/05
baba
28
佐野洋子さんと谷川俊太郎さんの合作はこの本のみで再版されたと手にする。冒頭の谷川さんの「夏が来た」から始まり「釘」は別荘での出来事を描き、いかにも佐野さんらしい女の子と良家のお坊ちゃまで体が弱く、宇宙の好きな男の子が谷川さんぽくてストンと胸に響く。最後の谷川さんに宛てた佐野さんの手紙が良かった。2018/08/03
ヒラP@ehon.gohon
26
佐野洋子さんと谷川俊太郎さんは、どのような夫婦だったのでしょうか。個性と個性のぶつかり合いからみ合いが、お互いの作品とはまた違う世界をくり広げています。 同じものを見ても、同じ時間を過ごしても、これだけお互いの違いをさらけ出せることは、素晴らしさであり驚きでもありました。2022/07/20
aloha0307
26
@図書館新刊コーナー 表紙カバーが?に飛び込んできた! 2巨匠の思わぬデュエットに邂逅でき嬉しくて♪ 冒頭 こどもたちは皆はだかんぼ 大きなバスタオルを拡げて待つお母さん...幼児記憶がブーメラン飛び込んできた(己の場合は その後シッカロール~今となってはこの?な白い粉 もう廃盤であろう)。老いた学者のじんわり静かな思索的な日記小説で、少年時代の少女との幻のようなひと夏を数十年を経たいま回想する...味わい深さにホント泣けてきます。挿入される佐野さんの絵がまたすごかったです☺2018/07/08
yamahiko
19
谷川俊太郎は好きな詩人の一人ですが、圧倒的に佐野洋子の文章に引かれました。2018/07/12
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- 和書
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