ぼくの死体をよろしくたのむ

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  • サイズ B6判/ページ数 258p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784093864558
  • NDC分類 913.6
  • Cコード C0093

出版社内容情報

ちょっと奇妙で愛しい物語の玉手箱

ヴァラエティ豊かな18篇からほんの一部をご紹介――

「大聖堂」
家賃は格安で2万円。そのかわり、一匹だけ扶養義務を負うというのがこのアパートの決まり。動物は三種(猫と兎とぼくの知らない小さな生き物)。そのなかからぼくは三番目を選んだ。四つ足でなめらかな毛、耳が立っていて、目はぱっちりと大きい。背中に一対の小さな羽根をたたんでいる――ぼくは〈つばさ〉と名づけた。

「ぼくの死体をよろしくたのむ」
「恋愛の精算に他人をもちこむのって、ずるくないですか」「そうよ、ずるいの、わたし」--銀座 午後二時 歌舞伎座あたり。知らない男と二人でてのひらに乗るぐらいの小さな男の人を助けた。「恋人を助けてほしい」と小さな人は言う。『猫にさらわれたのだ』と。

「二百十日」
伯母の代わりにやってきたのは「るか」という男の子だった。彼は少し魔法が使えるのだという。時間の流れを変えることができるのだ。

「スミレ」
人間を精神年齢に応じた外見にするための技術は、今世紀後半に発達した。わたしの実年齢は58歳だけれど精神年齢は18歳なので、宿舎の中では18歳の姿で過ごす。

川上 弘美[カワカミ ヒロミ]

内容説明

彼の筋肉の美しさに恋をした“わたし”、魔法を使う子供、猫にさらわれた“小さい人”、緑の箱の中の死体、解散した家族。恋愛小説?ファンタジー?SF?ジャンル分け不能、ちょっと奇妙で愛しい物語の玉手箱。

著者等紹介

川上弘美[カワカミヒロミ]
1958年生まれ。1996年「蛇を踏む」で芥川賞、99年『神様』で紫式部文学賞とBunkamuraドゥマゴ文学賞、2000年『溺レる』で伊藤整文学賞と女流文学賞、01年『センセイの鞄』で谷崎潤一郎賞、07年『真鶴』で芸術選奨文部科学大臣賞、15年『水声』で読売文学賞、16年『大きな鳥にさらわれないよう』で泉鏡花文学賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

ヴェネツィア

520
2016年に刊行された『大きな鳥にさらわれないよう』で、作風が大変貌を遂げ、新たな境地に向かうのかと思われたのだが、その翌年の本書ではまた以前のスタイルに戻ったようだ。本書は18の掌編から成る小説集。分量的なものもあるが、総じていえば軽妙洒脱な「うそばなし」群である。何か不思議な感が漂うのも概ねこれまで通りのスタイルか。大半は雑誌「クウネル」の連載だが、そのせいもあってか、エッセイ風の筆致による小説ばかりである。篇中でどれを採るかは意見が分かれそうだが、私はしいていえば「二百十日」か。2020/08/27

starbro

348
川上弘美は、新作中心に読んでいる作家です。少し風変りな人々の少し風変りな物語18編、川上弘美の絶妙の良い味が沁みています。18編のタイトルも好い感じですが、オススメは「鍵」、「お金は大切」、「土曜日には映画を見に」の3編です。これだけ恋愛しない人、結婚しない人が増えていると、想像出来ない愛の型が出て来るのかも知れません。2017/03/25

❁かな❁

233
川上弘美さんのこういう短編集が本当に大好きなんだなぁと改めて思った♡確固とした関係にとらわれない少し奇妙でふわふわした18のお話*いろんなジャンルのお話でどれも魅力的♡「鍵」と「銀座午後二時〜」のリンクも嬉しい♡小人さんが出てくるのも川上さんらしい*七生も気になるー!「なくしたものは」の視点がどんどん変わるのも楽しい♫「バタフライ・エフェクト」も素敵♡何だか懐かしく不思議な世界観を柔らかく穏やかな文章で優しく紡がれる。川上弘美さん好きな方にはとても楽しめる素敵な珠玉の短編集♡全部好きだけど特にお気に入りは2018/01/16

ケンイチミズバ

208
もらったものが鍵であるだけにやはり気になる。何の鍵?それ以前にあなたはなぜ告白せずに関係を維持することを大事にするの?あの人はいなくなって鍵だけが残って、すごく面白いしわかるけど。安いだけの理由で同じアパートに住む人とあまりお近づきにはなりたくないな。私も気弱な彼みたいに苦手な状態でまで気を使うのは嫌だ。慶太と静香がスゴく素敵。スペアの存在。大切な人の代用品としての存在の苦しさ、我慢と破壊に向く心が凝縮されている。草太の代用品だった兄妹の会話が心に響きます。雨音みたいにしんみりと。この短編は全部好きだ。2017/03/21

風眠

202
例えば、落とし物を探しているように見える男女。例えば、姉妹のような母娘のように見えるふたりが何かを話している。例えば、どこにでもいそうな恋人同士のように見える男女の一夜。よくある場面、日常にありふれた光景。でも「ように見える」だけであって、フォーカスしてみると、私には想像もつかないようなドラマが展開されているかもしれない。小さい人も、魔法使いも、時間軸の交錯も、名付けられない関係も在るのだ。ありふれた日常の中に紛れた存在だから、気にも留めないだけで。人生に常というものは無い。無常だからこそ、愛おしい日々。2017/05/01

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