ガラパゴス〈下〉

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  • サイズ B6判/ページ数 334p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784093864336
  • NDC分類 913.6
  • Cコード C0093

出版社内容情報

平成版『蟹工船』!メモ魔の刑事、再臨場!

警視庁捜査一課継続捜査担当の田川信一は、身元不明のままとなっている死者のリストから殺人事件の痕跡を発見する。自殺に見せかけて都内竹の塚の団地で殺害されたのは沖縄県出身の派遣労働者・仲野定文だった。仲野は福岡の高専を優秀な成績で卒業しながら派遣労働者となり、日本中を転々としていた。田川は、仲野が非正規雇用労働者として勤務していた三重県亀山市、岐阜県美濃加茂市を訪れる。そこで田川が目にしたのは国際社会に取り残され、島国で独自の進化を遂げる国内産業の憂うべく実態だった。
仲野殺害の実行犯を追いながら、田川はコスト削減に走り非正規の人材を部品扱いする大企業、人材派遣会社の欺瞞に切り込んでいく。

【編集担当からのおすすめ情報】
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相場 英雄[アイバ ヒデオ]
著・文・その他

内容説明

古い団地の一室で、自殺に偽装して殺害された心優しき青年。彼は、遠く故郷を離れ、日本中を転々とする派遣労働者だった。『世界でいちばん企業が活躍しやすい国』とは、『世界でいちばん労働者がこき使われる国』である。平成版『蟹工船』!

著者等紹介

相場英雄[アイバヒデオ]
1967年新潟県生まれ。2005年『デフォルト(債務不履行)』で第2回ダイヤモンド経済小説大賞を受賞しデビュー(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

starbro

442
上・下巻600P一気読みしました。ダーウィンの進化論で有名な本家のガラパゴス諸島は魅力的なワンダー・アイランドですが、本作のガラパゴスは陰惨で暗澹たる閉鎖的な島国でした。最近ブラック企業が取り沙汰されていますが、もしかしたら我が国自体がブラック国家なのかも知れません。田川刑事の脅威の執念に少しは救われるものの・・・少し気は早いですが、本作を本年のBEST10候補に推したいと思います。何時かガラパゴス諸島に行けたら良いなぁ!2016/03/02

yoshida

404
事件の真相が明らかになる。大企業のコストカットによる安全性の軽視、人を使い捨ての部品のように扱う派遣会社。今の日本にある課題に光を当てた社会派サスペンス。殺害役を指示された男に提示された条件のなんと悲しいことか。よく耳にする「働き方改革」の胡散臭さ。高齢化社会で成長率が伸びない日本で給料が上がる事はない。実質的な賃下げや、馘首をしやすくするのが本音だと思う。私の勤務先でも業務は高度化し数字もきついが、経営側は成果を上げて早く帰り残業代を減らせと言う。エピローグに泣きそうになる。現代の暗部に切り込む名著。2017/04/30

サム・ミイラ

399
下巻は上巻を遥かに上回る衝撃だった。自動車業界のみならず家電や飲食業界の現状までもが語られる。知らなかった事ばかり。陰りが見えたとはいえ世界をリードしていたはずの日本は今確実に「ガラパゴス化」している。人件費を合理化の名の下に削る豚カツチェーンの例などファミレスでバイトしていた娘の話と完全に一致する。背筋が寒くなる。政府と企業に多くの日本人は騙されている。そう思う。警察小説としての側面も見事。執念の捜査と狭まる包囲網そのリアルさに興奮胸が熱くなる。松本清張の志を継ぐのは相場英雄で決まり。正にそんな名著だ2017/02/21

Yunemo

370
壮絶というしかできません、この動機!この格差、現実的でありながら、でも知り得ることもなく。やはり上層部は逃げ切れるんだ。本作品、ミステリーというより経済・社会小説と受け取って。日本の自動車業界もガラ携と同じ、世界市場から置いてけぼりの運命、知らなければ知らないまま。人件費と売上というコスト管理に意識を向けなければ、ゴーイングコンサーンとなり切れず。これが企業を見る眼。でも、労働面から見ると、働きたいという単純な想い、普通にメシが食え、家族と過ごす、こんな当たり前のことが、面倒なご時世。うーんと唸って読了。2016/03/06

しんたろー

282
下巻は怒濤の一気読み!真相に迫ってゆく田川刑事と共に、現代日本の抱える問題を考えさせられた。雇用の歪み問題と一流メーカーのガラパゴス化という大きなタブーを核にして、熱く書き上げた相場さんに拍手!! 「普通に働き、普通にメシが食えて、普通に家族と過ごす。こんな当たり前のことが難しくなった世の中って、どこか狂っていないか?」と言う田川の台詞が胸に残るし、被害者も加害者も切なく哀しい。鳥居刑事も一つの生き方として理解できて、単なる悪役でないのが面白い。スポンサー主義の民放テレビでは制作できないのが惜しい快作。2017/02/11

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