通り魔

  • ただいまウェブストアではご注文を受け付けておりません。
  • サイズ B6判/ページ数 203p/高さ 19cm
  • 商品コード 9784093863919
  • NDC分類 913.6
  • Cコード C0093

出版社内容情報

これは小説ですが、小説以上に切実です!

これは小説ですが、小説以上に切実な小説です!!

――たとえば、食べるために働いたことのない2世・3世の議員に、こんな事態が想像できるだろうか?
生活できないことは、こんな現実があっても「自己責任」なのか?
小さな障害はあるものの、善良だった少年が残虐な凶行に及んだのは、彼だけの罪と言えるのか?
社会が犯している「弱い者いじめ」は、人間としての「罪」ではないのか?

【あらすじ】
幼い頃から僕は人と上手く話せなかった。僕はスナックを経営する母親と二人暮らしだった。母親とも上手く話せない僕は、よく叱られた。いつもひとりで過ごしていた僕は、中学生の頃からネットの中に居場所を見つけた。大学まで行きたくて高校に上がったが、2ヶ月で辞めた。スナックのお客の紹介で地元の縫製工場に就職した。その工場では、僕が一生買うこともできないような高価な服を作っていた。4年間勤めたが、小さな事件を起こして退職した。僕は地元を逃げ出し、東京へ向かった。だがそれが、大きな転落の始まりだった‥。

【著者紹介】
小説家。エッセイスト。京都府宇治市生まれ。1998年『それいぬ――正しい乙女になるために』(国書刊行会、後に文春文庫)で、エッセイストとしてデビュー。2000年『ミシン』(小学館文庫)で、小説家デビュー。同作は、単行本と文庫を合わせて16万部に達するベストセラーとなった。03年『エミリー』、04年『ロリヰタ。』が、二年連続三島由紀夫賞候補となる。04年には映画化された『下妻物語』(単行本は02年刊行)が大ヒットした。この他の弊社刊行の小説作品は以下のとおり。01年『鱗姫』、『カフェー小品集』、『ツインズ -続・世界の終わりという名の雑貨店』、03年『デウスの棄て児』、『カルプス・アルピス』、04年『ミシン2/カサコ』、05年『下妻物語・完 ヤンキーちゃんとロリータちゃんと殺人事件』、07年『変身』、08年『タイマ』、『おろち―olochi,super remix ver.』。公式ホームページURL http://www.novala.quilala.jp/

内容説明

小さな障害はあるものの善良だった少年が残虐な犯行に突き進む、慟哭必至の衝撃作!

著者等紹介

嶽本野ばら[タケモトノバラ]
京都府宇治市生まれ。2000年『ミシン』で小説家デビュー。2003年『エミリー』、04年『ロリヰタ。』が二年連続して三島由紀夫賞の候補になる(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

風眠

101
ショッピングモール、幸せそうな家族、買い物を楽しむ女性、「もう充分楽しんだだろ、幸せ満喫したよな、だからもう死んでもいいよな。」って、唐突に無差別に人を刺していく少年。ニュースが伝える「あまりにも身勝手な通り魔」は、実は私達も含めた社会の構造が作り上げてしまったのではないか。コミュニケーション障害を抱えた少年への差別、親さえも彼を見捨てた。働く場所もないネカフェ難民の少年がふと気付く。自分は哀しく寂しいのだと。その気付きから凶行に至るまではあっけないくらいに簡単。通り魔になった少年は、今の日本のリアルだ。2015/02/07

ゆみねこ

87
嶽本のばらさん、初読み。コミュニケーションに障害を持つ井吹が、どうして凄惨な事件を起こすに至ったか。本人が語ると言う形で進むストーリー。どこかで井吹の苦悩を受け止めてくれる人が居たら彼は踏みとどまることが出来ただろうか?社会の不条理を突き付けられた。2020/12/05

ユザキ部長

85
コミュニケーション障害。僕という萌芽には予め黒い太陽に向かって進むだけの運命なのか。座敷牢に閉じ込めておけばいい?人権も糞もない?日雇いから斡旋された工場ではガラクタ、人間廃棄場呼ばわり。追いつめられて追いつめられて。行着く先は手にしたナイフ。気に入らないから殺す。読み終えて我が娘を沢山愛そうと思った。2015/01/07

miww

83
主人公のコミュニケーション障害の少年の一人称の淡々とした語りで物語は進む。読んでいて苦しい。真面目に働きたいという本人の意思ではどうしようもなく、その障害とほんの少しのズレから転落の一途を辿る姿は怖くてたまらない。派遣、ネカフェ難民、SNS詐欺、これが日本の闇の世界なのか。人が壊れていく様がリアルに描かれたとても考えさせられた作品。2016/08/23

あも

76
読む前から分かっちゃいたけど救いは皆無。コミュニケーション障害を抱え、縫製工場で働き始めた少年が不運と幾ばくかの自業自得とで止めようもなく落ち続けていく。終始、主人公が読者に語りかけているような、もしくは最後の瞬間の前に長い独白をしているような形式で書かれているため、臨場感にあふれている。潔いタイトルの通り彼は罪を犯す。しかし本書は許しを乞う物語ではなく、母親を友人を底辺に墜ちた彼を搾取した社会を糾弾するものではない。ただ生きていただけでこうなった。だから、最後の言葉が発される。それが心に重くのしかかる。2020/02/21

外部のウェブサイトに移動します

よろしければ下記URLをクリックしてください。

https://bookmeter.com/books/8436094
  • ご注意事項

最近チェックした商品