起終点駅(ターミナル)

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  • サイズ B6判/ページ数 252p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784093863186
  • NDC分類 913.6
  • Cコード C0093

出版社内容情報

生きて行きさえすれば、いいことがある。

笹野真理子が函館の神父・角田吾朗から「竹原基樹の納骨式に出席してほしい」という手紙を受け取ったのは、先月のことだった。十年前、国内最大手の化粧品会社華清堂で幹部を約束されていた竹原は、突然会社を辞め、東京を引き払った。当時深い仲だった真理子には、何の説明もなかった。竹原は、自分が亡くなったあとのために戸籍謄本を、三ヶ月ごとに取り直しながら暮らしていたという――(「かたちないもの」)。
道報新聞釧路支社の新人記者・山岸里和は、釧路西港の防波堤で石崎という男と知り合う。石崎は六十歳の一人暮らし、現在失業中だという。「西港防波堤で釣り人転落死」の一報が入ったのは、九月初めのことだった。亡くなったのは和田博嗣、六十歳。住んでいたアパートのちゃぶ台には、里和の名刺が置かれていた――(海鳥の行方」)。
雑誌「STORY BOX」掲載した全六話で構成予定です。

【編集担当からのおすすめ情報】
第146回直木賞候補作にして2011年下期には書評家・編集者の注目を一気に集めた『LOVE LESS(ラブレス)』から6ヶ月、デビュー短編「雪虫」から10年目に満を持して、最高傑作登場!

著者等紹介

桜木紫乃[サクラギシノ]
1965年北海道生まれ。2002年「雪虫」で第82回オール讀物新人賞を受賞。07年、初の単行本『氷平線』が新聞書評等で絶賛される(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

ヴェネツィア

557
6つの短篇を収録。そのいずれもが北海道の、札幌や旭川ではなく、もう少しローカル色の強い地が選ばれている。全篇を通して、北の地の(時には涯かと見紛うような)寂寥感に溢れている。登場人物たちは、それぞれの主人公だけではなく周縁の者たちもすべからく不幸を背負っているかのようだ。そして、不幸が不幸を呼ぶかの如く物語が編まれてゆく。タイトルは「起終点駅」だが、物語から受ける印象は終着駅である。そして、その先はもうないのではないかとさえ思えるのである。”tragedy”ではないが、日常に潜む不幸を描いて実に巧み。2021/08/31

ミカママ

304
これは...桜木さんの筆力に陥落させられました。どの作品にも漂う「湿気った布団(ほぼ全作品に登場)」の匂い、手触り、やるせなさ、そして決してそれだけではない五感を刺激され続けられる作品集。「かたちないもの」で軽いジャブをくらい、残りの5作品で甲乙つけがたく、あっけなくノックアウト。精神壊した息子への老齢の母の言葉「身の丈越えれば、足もとがおろそかになる」のあったかさが身に染みます。久しぶりに読み返したい作品。私の中では、著者ベスト。2015/05/04

zero1

245
人はひとりでは生きられず、誰かとつながっている。北海道を舞台に人の孤独を描いた6つの短編を収録。女性新聞記者の山岸だけは二回登場する。すべてのエピソードに死が描かれている。私は観てないが、2015年に映画化。「ホテルローヤル」で直木賞作家の仲間入りをした桜木。独特の世界観は暗いが絶望を意味していない。身体を売ったり前科者だったりする登場人物たちだが底辺で生きにくい現実の中、辛くも生きている。文学が「人とは何か」を描くものなら、これぞ文学。控えめな描写は十分に読む価値あり。この作家、地味だが只者ではない。2019/02/07

射手座の天使あきちゃん

231
パステルカラーの表紙に騙されないで!(笑) 人生ってやるせないと思わせる孤独や別離、諦観とそれでもなお生きようとするしたたかさがあふれる6短編 甘っちょろいと言われるけれど仄かな愛や希望が見える「起終点駅」や「かたちないもの」が好き!! <(^_^;2012/08/27

れみ

213
北海道のいくつかの町が舞台の、そこに住む人々のお話(短編集)。人間関係のなかに存在する生々しさとか決してポジティブではないような部分がたくさん出てくるので読むのが辛いと感じることも多いけど不思議と目が離せないし気がつくとハマってる。このなかでは新聞記者の里和が元・歌人のミツの人となりをその死後に追いかける「たたかいにやぶれて咲けよ」が面白かった。2016/04/06

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