出版社内容情報
有村礼次郎という資産家老人が失踪した。警視庁捜査一課の堂園晶彦は、自身の祖父と有村老人が県立鹿児島第一中学校で同級生だったことを知る。有村の拉致には、彼と堂園の祖父の過去が大きく関わっていた……。
内容説明
失踪した老人は、葛飾区青戸七丁目在住の有村礼次郎、八十四歳、出身は鹿児島県。現在の場所で暮らすようになったのは二十年ほど前のことで、近所の不動産屋の話では、家と土地は即金で購入したという。それなら金回りはいいはずで、古びた家屋は建て直すものと思っていたら、たまに修繕をしながら住み続け、車を持つでもなく、家具調度に贅沢をするでもなく、世間によくいる侘びしい独居老人の暮らし向きを続けていたらしい―特殊班捜査係が動く。
著者等紹介
笹本稜平[ササモトリョウヘイ]
1951年千葉県生まれ。立教大学卒。出版社勤務を経てフリーライター。01年「時の渚」で第18回サントリーミステリー大賞と読者賞をダブル受賞。04年『太平洋の薔薇』で第6回大藪春彦賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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ミーママ
48
図書館の本📙 最後はハッピーエンドで良かった❗ こんな偶然現実には少ないとおもうけど小説だからいいのだろう。2020-60 2020/08/28
キムチ
38
主人公は堂園刑事 そこに上司の高平、浜中、大迫といった同僚との縦横の絡みが展開する警察小説。ちらちら、お定まりのキャリアへの不満、桜田門は出てくるが、全体として笹本氏の描き方は気持ちがいい。今回の事件は資産家の失踪(このタイプを特異家出人というようだ)をめぐり、犯人と刑事に運命の縁、80年近くも前の事件性を持った4人の男女が影を落とす。意外ときら星は菜々美ちゃん。最後、時を経て再会する高齢のカップルに「お爺ちゃんの恋人は私よ」の言葉で口元が緩んでしまった。拉致・籠城の場面がちょっとくどい嫌いはあったかな。2013/12/26
ゆみねこ
24
孤独な老後を送る資産家の老人と一人の少女の交流。突然行方不明になった老人を気づかう少女の願いで捜索活動をする刑事。人間のつながりがありえないという場面が多々あるけれど、最後は良い終わり方なのでよし。戦中戦後の混乱期を生きた人たちの青春期のお話が絡んで、ちょっと切ないシーンも。2時間ドラマにしたら結構面白いかも?2011/12/18
そのぼん
22
とある老人が行方不明になったことからストーリーが動いていきました。ページ数の割に早く読めました。 オチにも納得しました。2012/01/02
冴子
19
久しぶりの笹本作品。刑事ドラマなのに、しっかりとした構成と好感の持てる他県刑事との連携。 自分の祖父と特異家出人との関連を軸に、過去の事件が明らかになる経緯が面白かった。 警察って事件が起こらないと動かないものなのに、それを防ぐことの方が大切なことをもっと自覚してほしいものだ。2014/01/08