内容説明
ある嵐の晩、大富豪・門前家の邸宅に、一人の美少女が訪れる。美少女の名は“おろち”といった。この邸宅には、一草、理沙という美しい姉妹がいた。おろちは、世間から隔絶されて育てられているこの姉妹に惹かれ、ある“能力”を使って門前家に入り込むが、やがて門前家の執事・西条からこの家の秘密が次第に明かされてゆく―。天才・楳図かずおの不朽の名作を、鬼才・嶽本野ばらが、新たな世界で魅せる。
著者等紹介
嶽本野ばら[タケモトノバラ]
京都府宇治市生まれ。2000年、書き下ろし小説集『ミシン』(小学館)で作家デビュー。03年、『エミリー』(集英社)、04年『ロリヰタ。』(新潮社)が二年連続で三島由紀夫賞候補になる(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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青蓮
88
楳図かずおの「おろち」を題材に嶽本野ばらさんが小説化したホラー作品。美しい姉妹を襲う遺伝的奇病ーーそれは呪いと言ってもいいかもしれない。次第に美貌が蝕まれていくそれはどんなに残酷なものか。逃れられない宿命に戦き、姉妹間で生まれる憎しみ。やがて殺し合う一草と理沙の行方、そしてまた繰り返す「呪い」。きっとまた 「おろち」は訪れる。運命の糸車を見守り続ける者として。原作はまだ未読なので是非読んでみたいです。映画も気になるので機会があればこちらも観てみたい。2017/05/25
風里
11
ホラーとの前評判だったけど、怖さはなかった。 切なさとか苦しさとかが彩っている。 嶽本さんの筆致が良いのかな。2012/10/29
ゼニガメ
10
門前家の女に遺伝する奇病。皮膚が醜く爛れていく病気に怯え、互いを憎み合うようになった美しき姉妹。姉妹の愛憎劇も苛烈だけど、二人の間をうろちょろする恋人の人間性も汚いし、最後の執事の告白が一番エグい。嶽本さんの耽美な文章にくるまれているけど、人間の業のなんと深く醜いこと。原作の楳図かずおさんの漫画ではおろちは不老不死で現世を彷徨いながら様々な人間の業を見聞きする存在で姉妹の他にも色々な人々のもとに現れるらしいから、この話だけだと存在が薄く感じる。 2023/07/02
ぎんりょうそう
5
つらい運命という名の宿命を背負った女性と執事として代々仕える男性の切ない物語。表題のおろちの影は薄くちょっとわかりずらかった。後半で明かされる姉妹の秘密が悲惨な物語に展開している。2012/03/25
紗夜
5
ホラーはあまり好みじゃないはず・・・なんですけど、とても良かった。歪んでいる美意識というものがとても美しく感じた。ラストは、本当なら気持ち悪い終わり方なんだろうけど気持ち悪さを感じさせないくらい私の中で完璧だったな。原作を読んで見たくなった。2010/10/14