内容説明
32才、男、うつ病一年生。首を吊ろうとしたオレを変えたのは、心が刻まれた7通の手紙だった。映画『私をスキーに連れてって』『僕らはみんな生きている』の脚本家が描く、読む抗うつ剤小説。
著者等紹介
一色伸幸[イッシキノブユキ]
1960年2月24日東京生まれ。1982年、『火曜サスペンス劇場・松本清張の脊梁』で脚本家デビュー。以後、映画『私をスキーに連れてって』『彼女が水着にきがえたら』『波の数だけ抱きしめて』『木村家の人びと』『病院へ行こう』『僕らはみんな生きている』等や、アニメ、テレビドラマで活躍(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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ちゃんみー
44
初読み作家さんなんですけど、映画の脚本を書いてたんですね。私をスキーに連れてって、とか。捨てられてた7つの郵便が物語を一つの串刺しにして、自殺まで考えてた鬱病である主人公が前を向いてそして家族に感謝するようになる様を描いてました。なんと、作者さんも鬱病になってたんですね。送り届けられた7つの郵便とそれぞれのお話よりも、主人公の奥さんが夫を思う気持ちが伝わってくるところが良かったよん。鬱病からの脱出って家族の支えが必要だって聞くもんね。2013/10/25
おれんじぺこ♪(15年生)
27
鬱病の主人公が死を覚悟した廃墟で偶然見つけた7年前の手紙をそれぞれの差出人へ届けるお話。どれも普通の手紙ではなく届いた人の人生に大きく関わっていた大切な手紙でした。病気の描写が随分リアルだと思っていたら一色さん(作者)ご自身も経験のあることだそうです。想いを届ける、キチンと届けるって大切なこと2015/10/02
わった
17
うつ病患者が自殺するために立ち寄った廃墟で、郵便局員が捨てたであろう手紙を見つけ、配達後に自殺するため、一通一通配達していくというストーリー。7年前の手紙からわかる、当時の状況と今の状況の巻き戻せない時間が切なく苦しい。また、作者の体験から描かれた、うつ病を患っている方の感性がとても細かく、理解を深めるきっかけともなります。性的な話がちょこちょこ出ますが、うつ病という病気を示す道具になっていて、とてもわかりやすいです。またラストが・・・。2017/12/14
Megumi Ichikawa
13
題名に惹かれて図書館で借りる。著者は、脚本家。自らのうつ病体験を記したエッセイ「うつから帰って参りました」を出版。この本も主人公は、うつ病患者で自殺のするために訪れた廃墟「大船シネマ」で偶然破棄された郵便物を見つける。7年前に配達されなかった7通の手紙を宛名の人々に届ける物語。目次が-7章(マイナス)から始まり1章で終わる。うつの主人公が、「前略」と書き出す手紙は妻宛のどんな手紙なのだろう。2015/11/24
里季
11
うつ病のため自殺しようとした主人公は、廃墟となった映画館で実行しようとして、7年前に配達されるべきだった郵便物7通を見つける。そして、7通届けられたら、自殺を決行しようと決める。1通1通にまつわるお話がよくできていて、本当なら感動ものなのだが、同病を病む私には、隔靴掻痒。うつは、経験したものでないとわからないとても厄介な病気である。家族でさえその苦しみを共有できず、体のどこかが痛いのなら、苦しいのならなでたりさすったりできるのに、それすらできない。喜びも悲しみも感じられず、どこまでも続く砂漠の様な苦しみ。2013/05/12