内容説明
あまりにも小さくて、かなしくて、さびしい。でも、泣きたくなるほど、いとおしい。こんなふうでも、人は生きたいものなのだ。淡い人生の味がつまった珠のような短編集。
著者等紹介
桐江キミコ[キリエキミコ]
上智大学外国語学部卒業後、イェール大学、コロンビア大学の大学院で学ぶ。国連インターン、ワシントン及び東京の報道機関勤務を経て、現在、米国ニューヨーク市に在住、執筆と翻訳の生活を送る(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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ぶんこ
40
何だか合わない短編集だったので、何で読んだのかと思ったら小泉今日子書評集からでした。彼女の書評集から読んだ本には合わない本が数冊あったという事ですね。どの物語にも、人間的にどうなのかと思える人が多い。表題作の「お月さん」から、出てくる人が無神経な人で不愉快になってきました。やっと「寒天くらげ」で課長さんが仄々としていてホッとしましたが、何故ひとくせありそうな意地悪な人ばかり登場させるのか。著者初読みですが、合わなかったとしか言いようがないです。2016/08/05
野のこ
18
一癖も二癖もある変わった人たちの行動や会話が絶妙で面白かったけど、その奥に孤独が潜んでいて切なさを感じました。さりげなく出てくる花も後から考えると光に当たったキンギョソウまで白黒画像。食べ物のシーンが特に印象的でした。「葬式まんじゅう」『カエルの子はカエルだね』自分の耳にへばりついていた負の一言も娘のピュアな心で暖かなことばに。葬式まんじゅうを食べる母娘のシーンが泣けました。2016/11/20
Shimaneko
17
しんみりノスタルジックで物悲しい読後感。退屈な日常の中のささやかな非日常を切り取った素描のような掌編たちは、いわゆるオチがない系で、好みと評価はきっぱり分かれそうだけど、自分的にはキライじゃない。KYON2の書評を読まなければ知らなかったな、この人。2016/09/15
やんやん
10
哀しい話もほわっとし話もあり 不思議な感じ。 「金平糖のダンス」「キツネノカミソリ」「薔薇の咲く家」「葬式まんじゅう」はなんとも言えない哀しいような 悲しいような…。そのなかで「寒天くらげ」はほっこりして 好みだった。うん。天平さんがいい感じ。2015/08/30
しょこら★
8
タイトルから、暖かいお話を想像していたけれど、なんだかチクチクとそこいら中を刺される短編集だった。毎日、毎日、代わり映えもなく淡々と繰り返す日々。昨日と同じ今日、今日と同じ明日、どこかで一発逆転をひっくり返る世界を願いながら…。ここから飛び出したい。もっと、華やかに。だけど変わらなくて変えられなくて。小さな反逆心に痛いくらいに共感。 だけど、こぢんまりと収まってしまったこの日々が、いちばん良いのかな。2011/11/16