犬死―歴史から消えた8人の生贄

  • ただいまウェブストアではご注文を受け付けておりません。
  • サイズ B6判/ページ数 222p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784093860475
  • NDC分類 283.4
  • Cコード C0095

出版社内容情報

命を捨てるほどの「大義」など、ほんとうにあるのだろうか。「1つの国」になるため、日本と似ていなくもない混乱の歴史を経たドイツ400年の、人々の記憶から消された、8人の浮かばれない人々の生き方、死にざま。

 田舎将軍、傭兵隊長、官僚、錬金術師、芸術家……さまざまな人々が、何百にも分裂していたドイツの国家統一という「大義」に与した。しかし、彼らの無邪気な「正義」「忠誠」「純粋」はさんざんに君主や民衆に利用され、挙げ句、蠅でも叩き潰すように歴史から捨てられてしまった。本書はそんな8人の浮かばれない魂の墓碑銘である。日本の「天下統一」と同じような経過を経た、ドイツ400年の建国の歴史から消された彼らの姿は、「忠孝」のために自ら命を捧げることを美徳とした日本の「陰険な忠誠心」(司馬遼太郎)と響き合うものがある。こうした滑稽で悲惨な死にざまを通覧することで、世界に命を捨てるほどの「大義」などないことを伝えたい。

内容説明

田舎将軍、傭兵隊長、官僚、錬金術師、芸術家…様々な人々が、何百にも分裂していたドイツの「国家統一」という「大義」に与した。しかし彼らの純粋、無邪気な正義と忠誠はさんざんに君主や民衆に利用され、あげく蠅でも叩き潰すように歴史から捨てられてしまった。本書はそんな浮かばれない有名、無名の八人の生き方、死にざまを描く歴史物語である。

目次

第1章 黒幕に操られ見捨てられたお人好しな太鼓叩きの物語
第2章 一本気と無邪気さで首を落した叩き上げ傭兵隊長の物語
第3章 暴君と民衆の生贄にされた哀しい官僚の物語
第4章 愛と忠誠を捧げ尽くした「死ぬ者貧乏」将軍の物語
第5章 理想を妄信して現実に殺された純真な老将の物語
第6章 半端な才能のおかげで終生籠の鳥となった錬金術師の物語
第7章 愛郷と忠誠を負わされ潰された善良な田舎将軍の物語
第8章 悪口と酷評に縊死させられた生真面目な芸術家の物語

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

韓信

1
ハプスブルク家の栄華はなやかなりし中世から近代までのドイツ史上、有名無名の傭兵隊長・官僚・錬金術師ら8人の最期を切り取る歴史読み物。農民戦争の勃発や、傭兵制から国家軍創設への萌芽など、各々がおかれた時代のうねりも踏まえていて読み応えがある。個人的にはランツクネヒトがらみの話が面白かった。主人公は時代に取り残された者、切り捨てられた者たちだが、最後の建築家の物語で暗に描かれるのが、ナショナリズム吹き荒れる近代から切り捨てられたハプスブルク家と、その空虚なる中心フランツ・ヨーゼフ一世だというのが皮肉。2013/07/19

かばこ

1
ドイツの中世から近世にかけて、歴史の波に翻弄され消えていった哀しき死者たちの話。歴史の魅力を再確認。貴人に情なしという理(106p)的な話はいつかネタに使いたい。皇帝フランツ・ヨーゼフが自らを空虚とすることで帝国というシステムを維持させていたというエピソードが印象的。2010/03/25

ラガードー

0
死に向かう“主人公”の姿を推測できるのが楽しい。というのも、抹殺された者の話にとどまらず、その背景描写にも詳しいから。本書は、歴史の混乱の中で、日の目を見ることなく死んでいった者達の話。加えて、例えば当時は民衆も参加する暴力的な刑罰が行われていたという背景も詳しく紹介されるので、残忍にも死に向かう者の姿を追ってゆける。2015/02/17

気球に乗ってる人

0
昔も今も人間はいて、大体同じような事をやっている。とてもしんどい気持ちになれる作品だ。某作家さんの言っていた「キリストの教えとキリスト教の教えは違うものだ」という言葉の意味が良く分かる。二人の建築家のエピソードが特に刺さった。2018/01/27

外部のウェブサイトに移動します

よろしければ下記URLをクリックしてください。

https://bookmeter.com/books/110739
  • ご注意事項

最近チェックした商品