出版社内容情報
鰻や蛇、あるいは鰐や鮫が姿を変え洪水を起こすなど、さまざまな創世神話や穀物起源神話が伝承されている。海に生きる人々はこの「物言う魚」たちを、神の使いとして崇めてきた。これらの神話を通じて、沖縄から東南アジア・南太平洋へつながる海の道をたどる。
鰻や蛇を捕らえて食べると洪水になるという説話が東南アジアや南太平洋の島々に広く伝わる。同様な話が沖縄では「人魚伝説」として語られている。それらの話のなかで、鰻や蛇あるいは人魚は人間に食べられそうになると、津波が来ると話したり、「天災だ、天災だ」とたたりを暗示する呪文を言ったりする。 また、女神に恋した鰻が想いをとげられずに、「私が死んだら頭を埋めてくれ。そこから木がはえ、実がなったらその実から汁を飲んでくれ。そうすれば、飲むたびに接吻をすることになるから」と言い残して、ココ椰子になるという話もある。 この鰻や蛇の話が地域によっては鰐や鮫に姿を変え、ストーリーも変化して、さまざまな創世神話や穀物起源神話となって伝えられている。海に生きる人々はこの「物言う魚」たちを海神あるいは神の使いとして、また自分たちの祖先神として崇めてきた。 このような水に棲む動物にまつわる説話を通して、海人の信仰や自然との関わり方を紹介し、沖縄から東南アジア、さらに南太平洋へとつながる海の道をたどる。
内容説明
本書では、東北の一地域に見られる風習が日本各地、さらに南島世界、そして東南アジアや南太平洋へも連なる広大なテーマになることを論じていく。とくに、鰻・蛇、鰐、鮫といった水棲動物ないし水に関係が深い動物をキーワードにして、海霊や水霊の信仰の系譜をたどってみる。
目次
第1章 料理壺の中の鰻
第2章 洪水を起こす水霊
第3章 大地を支える神々
第4章 恋する鰻とココ椰子
第5章 人食い大蛇の服は宝の山
第6章 聖なる鰐は祖先の魂
第7章 鮫と竜をめぐる伝承
第8章 海から訪れる神の贈物
第9章 海上他界と海霊の系譜
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Arisaku_0225
とまる
つみれ
天茶
よね