内容説明
正徹は室町時代で最高の評価を得た歌人で、一万首を超える厖大な和歌を遺した。藤原定家に心酔し、兼好を絶賛した慧眼の持ち主であり、『徒然草』現存最古の写本もその筆になる。晩年の聞き書き風の歌論書『正徹物語』は、自作の解説、歌人の逸話、幽玄や妖艶といった歌体の説明など多岐にわたり、実作者ならではの内容に魅了される。章段分けを見直し面目を一新した本文に、新見に富む脚注、現代語訳、解説、主要歌書解説、索引を付した決定版。
目次
定家への信仰告白
家隆の歌風と亡室体
雅経は歌泥棒
現葉集
為相の母と弟
伏見院の筆跡
人麻呂出現
続歌の巻頭題
万葉集の注釈書
雅経と新古今集〔ほか〕
著者等紹介
正徹[ショウテツ]
永徳元年(1381)~長禄3年(1459)。禅僧で道号は清巌。室町時代の歌人。多作で一万首超の詠が現存。難解な歌風は保守的な歌壇で異端視されたが、連歌師心敬などに強い影響を与えた
小川剛生[オガワタケオ]
1971年東京生。慶應義塾大学文学部卒業、同大学院文学研究科博士課程中退。熊本大学、国文学研究資料館を経て慶應義塾大学文学部准教授。博士(文学)。著書に『二条良基研究』(笠間書院、第28回角川源義賞受賞)ほか(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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シンドバッド
6
角川文庫ももっとこのような意欲的な文庫を出版してほしい。 できれば、講談社学術文庫のような、構成を行って欲しい。原文の後に註解そして現代文(必ずしも、必要ではないが、読者サービス)という構成が便利。2013/10/15
shou
4
歌論書だけど、ちょっとしたメモのような段もある(笑) 最初から最後まで定家への心酔に溢れている。「世間の人が皆もてはやす歌を詠んでいたら、そこで進歩はとまる。(略)ただ、世間で一様によしとされるものにはやはり取り柄があろうかとも思う」あたりの悩みは歌の世界に止まらない。2015/02/14
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